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BETアワード 2016 ラッパーは移民の子? 〜No移民、Noブラックミュージック

BETアワード 2016
あのラッパーも移民?
〜No移民、Noブラックミュージック

 

 

2016/06/27

 

 


昨夜のBETアワードはまさにプリンス祭だった。3時間半のショーで5組も追悼パフォーマンスがあったのだから。その詳細はここでは書かないけれど、ショーをつらつらと眺めながら、「あー、“移民の子”がたくさんいるなぁ」と思った。

 


奇しくもイギリスのEU離脱で世界中が盛り上がり、「移民が増え過ぎたからだ」説がTLに流れてきたり、アメリカもオバマ大統領の不法移民救済案が最高裁で却下されたり、そもそもトランプのムスリム移民禁止案ぶち上げもあったりで、ずっと移民のことを考えていたからだ。(だから昨日もドミニカ移民のことを書いたばかりだし)

 


マックスウェル(母:ハイチ移民、父:プエルトリコ系)
ファット・ジョー(プエルトリコ系、キューバ系)
フレンチ・モンタナ(モロッコ生まれ)
フューチャー(両親:ハイチ系)
DJカリード(両親:パレスチナ移民)
シーラ・E(母:アフリカン・アメリカン、父:メキシコ系)

 


気付いただけでもこれだけ。実際はもっともっといるはずだけれど。

 


ファット・ジョーはスペイン語話者。フレンチ・モンタナはアラビア語とフランス語を話すイスラム教徒。DJカリードもイスラム教徒。マックスウェルはアメリカ黒人奴隷の子孫ではないことになる。シーラ・Eも半分ラティーノ。

 


こうした人々がアメリカのBET(ブラック・エンターテインメント・テレヴィジョン)の祭典に重要なパフォーマーとして出演しているのだ。

 


(プエルトリコは米領なのでプエルトリコ系は法的には移民ではないけれど、スペイン語話者、多くは貧しさから米国本土に移住と、移民とよく似た背景を持つ)

 


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いわゆるブラックミュージック・シーンには移民の子だけでなく、自身が外国で生まれ、後にアメリカに移住した移民ミュージシャンもたくさんいる。

 


ヒップホップの始祖たちを見よ。

 


DJクール・ハーク(ジャマイカ生まれ)
グランドマスター・フラッシュ(バルバドス生まれ)
ダグ・E・フレッシュ(バルバドス生まれ)
スリック・リック(ロンドン生まれ)

 


ペパ(ソルトン・ペパ)(ジャマイカ生まれ)
ワイクリフ・ジョン(ハイチ生まれ)
イモータル・テクニーク(ペルー生まれ)

 


近年の有名どころでは
ニッキー・ミナージ(トリニダード生まれ)

 


エイコンはセネガル人の両親からアメリカで生まれながらも、子ども時代をセネガルで過ごしている。

 


ちなみにリアーナはバルバドス人。子どもの時期に親と共に移住したパターンではなく、シンガーとして見初められてアメリカへ来てデビューした人。ドレイクはカナダで芸能人として成功し、アメリカでも活動を始めたカナダ人。

 


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移民は全米どこにでもいるけれど、ニューヨーク市は特にその割合が高い。人口の36%が外国生まれで、つまり残り64%がアメリカ生まれなわけだけれど、そのうち移民が生んだ子の割合はどれほどなのだろう。今回のBETアワードには登場しなかったけれどハーレムを仕切るディプロマッツもキャムロン以外は大体皆カリブ海系だし、再結成?最活動?するクイーンズ出身のGユニットもそう。やはりハーレムのA$APロッキーだってお父さんはバルバドス人。カリブ海系の一大本拠地ブルックリンともなれば、もう。

 


白人の芸能人にだって移民はたくさんいる。例えばキッスのジーン・シモンズ(イスラエル生まれ)、俳優のミラ・ニクス(ウクライナ生まれ)、キーファー・サザーランド(英国生まれのカナダ人)などなど。

 


政界・財界・メディア・アカデミック界にも移民や移民の子はたくさんいる。その最たる存在はキッシンジャー、オルブライトの2人の元アメリカ合衆国・国務長官だろう。国の最高機密と外交を外国生まれの移民が仕切っていたのだ。

 


どの分野に於いても一流の移民たちはアメリカ人として活躍している。その作品や活動振りから他国の血、他国の文化を引き継いでいるとは分からない人のほうが多いかもしれない。けれど移民はいくらアメリカナイズされても何かしら“アメリカ”とは異なる独自のフレイバーや価値観を持っている。それがアメリカとうまくブレンドされた時に、新しいアメリカン・カルチャーが生み出されるのだ。この現象こそが、まさにアメリカなのである。

 


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世界各国で移民規制がかまびすしい昨今。私もすべての移民を無条件で受け入れろ、今いる違法滞在者を全て合法にせよなどと言っているわけではない。けれどアメリカに移民や移民の子がいなければ、アメリカという国は成り立たない。物理的な存在はできても、とてもつまらない国になってしまう。

 


移民とアメリカ。非常に重要で、難しくて、繊細なこの問題をどう手掛けて行くのか。これは移民の国アメリカ合衆国が、永遠に抱えていかざるを得ない課題だが、もはやアメリカだけの話ではなく、世界どの国でも同様なのだろう。

 

 

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author:堂本かおる, category:ブラックカルチャー, 20:40
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移民都市NYが生んだ知られざるスーパースター 〜3人に1人がヒスパニック

ロメオ・サントスが、ジェイ・Z御大のロック・ネイションが新たに設立したラテン部門のCEOに就任とのニュース。

 

去年『ワイルド・スピード7』にロメオ・サントスがチョイ役で出ていた。その時は、へー、映画にも進出するんだねと思ったものの、その後は音沙汰が無かった理由はこれだったのか。

 

このシーン覚えてますか?

 

ロメオ・サントスはブロンクス出身のバチャータのスーパースター。バチャータとはカリブ海のドミニカ共和国発祥のラテン・ロマン歌謡。ロメオもちょっと甘過ぎるかと思えるほどの声で切なく切なく切なく……そしてもちろん締めはねっとりセクシーに歌う。

 

そもそもはアベンチュラというバチャータ・バンドのリード・シンガー。10代のラティーナたちに絶大な人気を誇った、言うなればラテン・ビートルズ、ラテン・ジャクソン5、ラテン・ワンダイレクション。メンバー4人のうち1人はドミニカ生まれ、ロメオを含む3人がブロンクス生まれ。ちなみにロメオは父親がドミニカ系、母親がプエルトリコ系のカリブ海ラテン・ミックス。

 

後にロメオはソロとなり、2013年にはマディソン・スクエア・ガーデン3公演ソールドアウト、翌2014年にはなんとヤンキー・スタジアム2公演ソールドアウトという前代未聞の記録を打ち立て、まさに超弩級スーパースターとなった。

 

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生まれも育ちもニューヨークのロメオは英語とスペイン語のバイリンガルだけれど、これまでリリースした曲はすべてスペイン語。それでヤンキー・スタジアムを2日完売したのだから彼の人気の程だけでなく、スペイン語曲の需要の高さもよく分かることと思う。ニューヨーク市の人口840万人のうち、今では3割がヒスパニックなのだ。(コンサートには他州はもちろん、本国ドミニカ共和国やプエルトリコからもファンが飛んで来ていると思うけど)

 

こんなふうに英語を話すアメリカ人(移民二世)でありながら、あえてスペイン語のみで歌ってスーパースターとなった先例はマーク・アンソニー。彼もニューヨーク生まれのプエルトリコ系。プエルトリコはアメリカ領であり、したがって正確には“移民”ではないものの、生活環境、社会的ポジションとしてはロメオと同じ。

 

そのマーク・アンソニーが巧みだったのは、ハリウッド映画には英語で出演し、非ヒスパニックのアメリカ人にも知名度を広めたこと。ロメオが『ワイルド・スピード7』に出演し、今、アメリカで公開中の映画版『アングリー・バード』に声の出演をしているのもマーク・アンソニーに倣っているのだろうと思う。

 

いずれにせよ、アメリカには「ラティーノだけが知っているスーパースター」がいて、その中から、やがて世界的な知名度を得る者が輩出される。それを見越したビジネスマン、ジェイ・Zはラテン音楽へ手を広げるのだな。もしかするとロメオの映画出演は、契約に先立ってすでにジェイ・Zから出された指令なのかしらん、と穿ってみるなど。

 

※ドミニカ系アメリカ人:全米に180万人。人口比では0.54%に過ぎないが、うち4割がニューヨーク市に集中し、ニューヨーク市のラティーノの中では最大多数派。特にマンハッタンのハーレムに隣接するワシントンハイツ、およびブロンクスに多い。

 


以下、オマケとしてドミニカ系アメリカ人アーティストのリストを。


・ゾーイ・サルダナ(アバター、スタートレック)
・ミシェル・ロドリゲス(ワイルド・スピード)
・トリスタン・ワイルズ(アデル『Hello』ビデオ)
・ダーシャ・ポランコ(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック)
・ファボラス(ラッパー)
・アーヴ・ゴッチ(ラッパー)
・40 Cal.(ラッパー)
・J. R. ライター(ラッパー)
・ジュエルズ・サンタナ(ラッパー)
・トリナ(ラッパー)
・キャット・デルーナ(シンガー)
・アレックス・ロドリゲス(NYヤンキーズ)
・オスカー・デ・ラ・レンタ(故人、デザイナー)




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author:堂本かおる, category:ラティーノ, 23:33
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