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NBA/LAクリッパーズ経営者の黒人差別発言
4月27日、日曜日。LAクリッパーズの選手はゴールデン・ステート・ウォリアーズとの試合において、クリッパーズのロゴの入ったシューティング・シャツをコート中央に脱ぎ捨て、赤いシャツを裏返しに着てチーム・ロゴの無い状態でウォーミングアップを行った。同チームのオーナー、ドン・スターリングの黒人差別発言への無言の抗議だった。スターリングは試合に姿を見せなかった。

(その映像)


ことの発端は、オーナー、ドン・スターリングの恋人であるV・スティヴィアノがマジック・ジョンソンと写真を撮ったこと。それについてのスターリングとスティヴィアノの電話での会話が録音され、公開されたのだ。以下はその内容。


V・スティヴィアノ(右)がインスタグラムにアップしたマジック・ジョンソンとの写真。


スティヴィアノがマジック・ジョンソンと撮った写真をインスタグラムにアップしたことについてスターリングが気分を害し、「黒人と寝てもいいし、家に連れ込んでもいい、何でもやりたいことをやれ。しかし、それを世間に公表するな「彼を私のゲームに連れてくるな」と声を荒げる。スティヴィアノが「私もメキシコ系と黒人のミックス」「あなたのチームのほとんどはアフリカン・アメリカン」だと抗議すると、スターリングは「私が彼らに衣服、食料、車、家を与えた」「誰が試合を開催している。私か?彼らか」と激高。さらに「イスラエルでは黒人は犬のように扱われる」とも。スティヴィアノが「あなたはユダヤ系なのだから、人種差別を理解しているでしょう?」と問うと、「これは差別ではない。バスケットボールの試合に特定の人物と共に来たくないというのは差別ではない」


録音は1時間分あるとされ、うち9分を聞いた限り、スティヴィアノがスターリングの人種観を執拗に非難している。スターリングは自分は人種差別主義者ではなく、世間には人種による線引きや住み分けがあり(スターリングはそれを“文化”と呼んでいる)、スティヴィアノがその文化を理解していないとレクチャー。スターリングへの非難を止めないスティヴィアノに対し、議論に疲れたスターリングが「言い合いはもう止めよう」と懇願する瞬間もあるが、やがて憤り、上記の人種差別発言を繰り出している。


この発言に対し、多数のNBA選手、元選手、その他の黒人セレブ、一般のバスケ・ファンが抗議のコメントを発している。


マイケル・ジョーダン
「NBAチームのオーナーとして、同じチーム・オーナーのこのように不快かつ侮辱的な視点に、明らかな嫌悪を感じている。元選手としては、完全に怒りを感じている。スターリング氏が発したとされるレイシズムと憎悪はNBA、他のどんな場所に於いてもあってはならない」


マジック・ジョンソン(抜粋、意訳)
「スターリングとは個人的な交流もあり、それほど親しいわけではないが友情もあったと思っていた。私は彼を尊敬していたし、彼も私に敬意を払っていると思っていたが、そうではなかった。スターリングの発言は私を個人的に傷付けたというより、全アフリカン・アメリカンを傷付けるものだ。正面切って自分は人種差別主義者だ、お前が嫌いだと言われれば、それはそれで尊敬もするが、笑顔を見せておきながら」


マジック・ジョンソンはインタビューで上記を、もの静かに淡々と語ったが、その心情は察して余有る。その世界でもっとも優れた業績を残した人物の一人であっても、黒人であるという理由で、やはりこうした扱いを受けるのだ。しかも、全選手の大方を黒人が占める業界に於いての話だ。オーナーが黒人選手をキャッシュ・カウ(金蔓)としか看做していないことの証明だ。マジック・ジョンソンは、スターリングはチームを売却べきだとも語っている。


さらにオバマ大統領まで、訪問先のマレーシアでの首相との共同記者会見でこの件について記者より質問を受け、以下のように厳しく応えている。


「無知な人間が自らの無知さを喧伝する時、こちらは何もする必要はない。ただ、喋らせるだけだ」「アメリカ合衆国は人種、奴隷制、人種隔離の歴史と闘い続ける。差別の傷跡はまだそこにある」


今回の件、スターリングとスティヴィアノの痴話ゲンカの成れの果てという見方もされている。スターリングがスティヴィアノにかなりの資産を使い、または与え、それを巡ってスターリングの妻がスティヴィアノを訴えるという背景があるからだ。ちなみにスターリングは過去にも人種差別行為によって物議を醸し、訴訟も起こされている人物だ。


NBAファンは次のLAクリッパーズの試合の観戦ボイコットを訴えている。NBAは件の捜査を行うことを表明した。


追記:
4月29日、NBAコミッショナーはドン・スターリングのNBA永久追放と250万ドルの罰金を発表。オーナーにチームの売却を強制する法的権限はないが、売却を働きかけるとのこと。






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author:堂本かおる, category:アメリカ文化・社会, 22:43
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オバマ大統領来日:人種差別コラージュ
オバマ大統領が日本を訪れる。アジア歴訪の初日23日から二泊三日。22日午後はまだ西海岸ワシントン州にいて、40人以上が亡くなった大規模な地滑り災害の追悼および被災者への励ましを行っている。おそらくそれが済み次第、エアフォース・ワンに飛び乗るのだろう。


さて、今回の来日の重要な対談項目はTPPであり、日本のネットにはすでにオバマ大統領の来日を牽制するものが見られる。日本にとって大きな懸案事項であり、これは当然のこと。気になったのは、政策批判と人種差別の混同だ。


naverまとめ
#皆でオバマ来日に備えようぜの反米クラスタが怖すぎてオバマが帰るレベル



上記にアップされている写真やイラストの多くは戦艦隊やプーチン・ロシア大統領、またはバズーカ砲を抱えたシュワルツネッガーなどで、要はオバマ大統領を威嚇する他愛のないジョーク。それなりに楽しめる。



ところが何枚かKKK(クー・クラックス・クラン)の写真が含まれている。まとめのタイトルに添えられたアイコンもKKKのメンバーに囲まれ、なぜかにこやかにワイングラスを掲げるアフロヘアの黒人青年だ。



これらの写真、アップした当人はどれほどKKKと、アメリカでのKKKのポジションを理解しているのかと訝う。日本でも映画などによって「白い頭巾を被った黒人差別主義者のグループ」と知られてはいるが、そこ止まりではないだろうか。こうした写真を黒人にあえて見せる行為の意味するところは分かっていないように感じる。もちろん、オバマ大統領自身は日本のサイトを見ることなど無いにしても。



夜中にこんな集団がいきなり自宅を襲い、自分と家族を脅し、殺す。
「でも、こんなのもうやってないでしょ、昔の話でしょ」
確かにこうした衣装と道具立てで黒人を襲うことはもうない(と思う)。しかし、KKKは今も存在するし、トレイヴォン・マーティンの件を持ち出すまでもなく、黒人は今も黒人であるというだけの理由で殺される可能性のある国なのだ。

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ホワイトハウスは公表しないが、オバマ大統領と家族が人種差別主義者からどれほどの脅迫を受けているかは想像するまでもない。一時は減っていた人種差別団体が、オバマ大統領の当選後に増えているというデータもある。


アメリカでは様々なアンチ・オバマ、アンチ黒人のコラージュやメッセージが人種差別主義者によって作られてはメールで回覧されたり、ネットにアップされる。以下はそのうちの数点。



2009年、カリフォルニア州Los Alamitosの市長が複数の友人に配信した写真。ホワイトハウスの庭がスイカ畑と化している。スイカは“黒人の好物”として黒人ステレオタイプ画によく使われる。市長はうっかり黒人女性にもこのコラージュを送り、そこから火が点いて辞職のハメに。


(写真はここをクリック)
「ホワイトハウスに白人(の大統領)を戻せ」 2012年の大統領選時に共和党候補ミット・ロムニーの支持者が着ていたTシャツ。ロムニー陣営は「関わりはない」とコメント。




ネット上で拡散したコラージュ。ここにもスイカ、 フライドチキンと“黒人の好物”が描かれ、「神よ、選挙キャンペーンするのはもちろん大好きです!」が黒人英語で書かれている。作者不明。



カリフォルニア州のティーパーティ・メンバーが「オバマが出生証明証を出さないのが何故か分かったでしょ」のコメントを添えて仲間にメールした写真。黒人をサルに例えるのは昔から差別の常套手段であり、したがって悪意のない場合もタブー。制作者はメールした理由を聞かれ、「私はレイシストじゃないわ!ジョークよ!」と返答。2009年。


以上、いずれも政策への反論ではなく、黒人が黒人であるという、ただその一点のみを揶揄したもの。相手が自国の大統領であろうが関係なく、すべては作り手の“白人であること”の優位性に基づいている。……が、実は逆に作り手のレベルの低さを露呈しており、しかも当人たちはそれに気付いていないお粗末さ。公職者に至っては自身のクビを絞めることになるとも気付かず、結果的に辞職や謝罪に追い込まれているのである。


唯一の救いは、オバマ大統領が初当選した2008年前後は大量に作られたこうした低劣な人種差別コラージュが、作り手もさすがに飽きたのか、最近ではかなり数が減っていること。




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author:堂本かおる, category:アメリカ文化・社会, 14:36
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