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ルー語でゴー!
★アプライしてバケーション

筆者はルー大柴氏のファンだ。「ルー語」にとても惹かれる。「トゥギャザーしようぜ!」はもちろん、「薮からスティック(棒)」「寝耳にウォーター」といったゴロのいい諺にもシビれる。先日も愛媛大学ならぬ愛媛ユニバーシティで「人生はマウンテンあり、バレーあり」と銘打った講演会を開いたりと、ますますの活躍振りで嬉しい限りだ。

なぜルー語のファンかと言えば、アメリカ暮しの長い日本人の例に漏れず、いつの間にやらチュラルにルー語を使うようになってしまったから。「バケーション取った?」「あの学校にアプライしてるんだけど」などなど在米日本人同士で、日本の人にはかなり嫌がられそうな会話を交わしている。

先日も米国永住日本人のグループに日本から仕事で渡米中の男性が独りというシチュエーションがあり、ある女性が「あれはエクスクルーシブだから」と発言。男性は「あのぅ、エクスクルーシブってなんですか?」と聞き返した。日々こんなふうだから、ルー語を聞いて笑うのは自虐のカタルシスなのだ。

★同時通訳者は天才!

母国語と英語がちゃんぽんになるのは日本人だけではない。中南米系のニューヨーカーは猛烈な早口でスペイン語と英語が混じったスパングリッシュを喋っている。西アフリカ諸国から来た人たちの話を聞いていると、部族語なのに時々「メルシー」とか、「OK」とか言っている。部族語、彼らの共用語であるフランス語、アメリカに来てから学んだ英語が三つ巴になっているのだ。

並みの言語能力しか持たない凡人は大体こうなる。言葉の切り替えスイッチがシャープに動作しない。

アメリカ人と日本人の間に立って同時通訳会話をすると、それを思い知らされる。英語を話さない友人の言ったことを英語でアメリカ人に伝える。アメリカ人の返事を日本語にして友人に戻す。友人の次の質問をまた英語にしてアメリカ人に聞く。これを何度か繰り返すうちに脳みそが混乱し、うっかり日本人に「Because, she's...」などと英語で言ってしまう。会話の内容は買い物であるとか、道順であるとか、至って簡単であるにもかかわらず。

逆に言えば、専門的な内容を二言語ぶれずに正確に訳すプロの通訳者は言語の天才なのである。それでも連続通訳時間は20分が限界、長引く場では複数の通訳者が交代で務めるのである。

★言葉を越える何か

ルー語が生まれたのは、ルー大柴氏が若い頃に帰国子女のガールフレンドと付き合っていたかららしい。彼女も日英ちゃんぽんのナチュラル・ルー語を使っていたのだろう。なるほどアンダースタンドだ。

こうした言語の混乱を理由に、複数言語教育に意義を唱える人がいる。

筆者の知人に中学時代からアメリカに住んでいる日本人と、カナダで育ち、いったん帰国して中高を日本で過ごし、アメリカの大学に進んだ日本人がいる。2人とも「英語も日本語も中途半端です」と言う。どちらの言葉でも日常生活での不便は無いバイリンガルだが、複雑な心情などを語りたい時に語り切れていないように感じるらしい。敬語も苦手だと言う。子どもの言葉から大人の言葉に少しずつ移行する中高生時代に言語環境が変わったことが原因なのかもしれない。けれど2人とも複数の言葉と国と生活環境を知る人ならではの感性を活かして映像クリエイター、異文化プロデューサーとなっている。

日本国内では当然、正しい日本語を維持する努力が為されてしかるべきだが、1億3千万人もの人口のうち、何パーセントかはこうした言語感覚を持つ人がいてもいいのではないかと思う。時に日本語が不正確であっても、それを補う何かをこうした人々は持っている。それを許容し、活かす社会であれば、結局は社会の利益になるとミーは考えるのだが。いかがでしょうか、ジャパンのエブリバディ。それでは今年もよろしく! ハヴ・ア・グレート・イヤー!

雑誌インサイト 2015年1月号掲載
ビッグアップルの芯 Vol. 66「ルー語でゴー!」
 



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JUGEMテーマ:学問・学校
author:堂本かおる, category:アメリカ文化・社会, 13:28
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