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ゲトーのスーパースクール
来る9月。アメリカでは新年度。息子に転校の誘いがあった。なんとキンダー(小学校付属の幼稚園)入学時に申し込んで順番待ちリストに載った学校から、5年振りに電話がかかってきたのだ。そこはオバマ大統領がモデル校として全米に広めようとするハーレムのチャータースクール。簡単に言えば、公立として授業料無料、しかしカリキュラムは民間に完全委託の半官半民の学校。ハーレムのメインストリートにある第一校舎に続き、去年、悪名高い大型プロジェクト(低所得者用公団)6棟のど真ん中に新校舎がどどんと建った。

この学校は授業時間が長い。7時半に朝食を出し、授業終了は4時。放課後はそのまま学童保育が学年によって5時または7時まで続く。夏休みは70日以上あるニューヨーク市にあって、なんと8月の30日間だけ。その間も学校提供のサマーキャンプがある。子どもによっては生まれてすぐの親子育児教室から始まり、小中高の一貫校。

ハーレムのチャータースクールの目的は子どもを大学に入れること。大卒でなければまともな職が無く、良くてワーキング"超"プア、もしくは福祉頼り、刑務所行きかホームレス。そうした層が子どもを作ると親同様に教育を受けるのが難しく、同じサイクルを繰り返してしまう。だから大学入学が学校の使命なのだ。

しかし勉強をガリガリやるだけでは足りない。放課後や長い夏休みに子どもがストリートをうろうろするとギャング、銃、ドラッグ、セックス(10代の妊娠)の誘惑がある。そこでゲトーでは子どもをストリートから遠ざけておくことも命題になる。しかし低所得の親は習い事や学童保育、夏休みの間のキャンプの月謝が出せない。だからこの学校では「無料」で子どもを校内に長時間留めておく。

プロジェクト(低所得者用公団)はどこも問題山積。この学校があるプロジェクトも銃撃で若者(20代前半で子持ちだった)が死んだこともあり、なかなか評判は悪い。そこに敢えて校舎を建て、住人の子どもを優先的に入学させるのは、創設者の目的が「ハーレム・コミュニティを良くすること」だから。ハーレムに住む成績と素行の良い子だけを厳選し、鍛えて良い大学に入れ、優秀校の栄誉を得ることが目的ではない。ゲトーの子どもに安定した将来を得る準備をさせ、引いてはハーレム・コミュニティ全体を向上させることが創設者のゴールなのだ。創設者自身がサウスブロンクス出身の黒人男性であり、だからこその強い理念と使命感だと言える。

私の息子は本人の資質から学校に長時間居ることが益になるとは思えず、夫と話し合った結果、入学を断った。しかし黒人低所得地区に於けるこの学校の意義は大いに讃えて止まない。

 

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author:堂本かおる, category:ハーレム, 04:50
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