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メラニア・トランプ:ファーストレディ公式写真を大公開
メラニア・トランプ:ファーストレディ公式写真を大公開

 メラニア・トランプがファーストレディとしての初の公式写真を公開した。その直前に息子バロンの学校終了を待ってホワイトハウスに移るという報道もあった。4月に開催されるホワイトハウス恒例のイースター・エッグロールと呼ばれるイースター(感謝祭)のイベントにも出席するらしい。


メラニア・トランプ、ファーストレディとしての初公式写真


 というか、膨大な数の親子連れをホワイトハウスに招待し、大統領夫妻が子供たちと遊んだり、絵本の朗読をしたりするイースター・エッグロールは代々ファーストレディが主宰してきた。けれど当初メラニアはホワイトハウスに移る気配がなく、本来ならとっくに始めていなければならない準備も進んでおらず、今年、イースター・エッグロールは果たして開催されるのだろうかと訝っていた。

 それはさておき。

 メラニアはいろいろ言われているけれど、個人的には特にネガティブな思いはない。きっとそもそもの性格や、外国出身で英語にハンデがあり、公式イベントでの他国のファーストレディとの会話や、米国内でのファーストレディ主宰イベントの仕切りなど、考えただけでウンザリしているだけではないだろうか。

 そう考えると大統領に立候補する者は自身の適正だけでなく、パートナーの適正も考慮しなければならないことになる。ミシェル・オバマは夫バラクがイリノイ州の上院議員に立候補した時点で自分のキャリアに支障が出ることを憂えた。まして大統領に立候補など、それこそ「勘弁してよ」だったらしい。それでもなってしまったからにはファーストレディ業に全力を尽くし、自分も楽しんでしまった。これは凄い能力だと思う。

 でも、それはミシェルの性分というか、能力であって、それをメラニアにも求めるのは気の毒な気がする。

 逆に言えば、大統領の妻はファーストレディという名の在宅専業主婦にならなければならない暗黙の掟をメラニアは打ち破るかもしれないと、少々の期待はあった。

 しかし、メラニアと息子バロンがニューヨークに留まると天文学的な警備費用をニューヨーク市が払わなければならず、ニューヨーク在住納税者として、そこには反対の署名をさせていただいた。(50万人ほどの署名が集まった)


 ■メラニア・ファンはいい加減にしろ

 メラニアではなく、メラニアの「ファン」には言いたいことが結構ある。まずは、トランプ当選の瞬間も、今回の公式写真の公開に際しても「これでホワイトハウスに気品が戻った」という書き込みが散見されたことだ。言わずもがな、「黒人のファーストレディなんてとんでもない!」の婉曲表現だ。当選時には勢いに乗ってミシェルを「猿」呼ばわりする者もいた。黒人=猿という古典的なステレオタイプだ。


ミシェル・オバマ第2期2013の公式写真(ノースリーブ。当然)


 ファーストレディに「気品」を求めるメラニア・ファンが大統領には気品のカケラも求めない不思議もある。そもそもメラニアが昔、移民として不法就労していた疑い、さらにモデルとしてヌードグラビアを撮影していた件も放置し、まるで無かったことのように振る舞っている。もし「黒人」のミシェル・オバマが同じことをしていたら、それこそ袋叩きだったはずだ。

 というわけで、メラニアのファーストレディ公式写真、フォトショだの(セレブは皆されてるし)、巨大なダイヤモンドの指輪の向きだの(笑えるけど)、まあ、そんなことはどうでもいいではないか。

 (現在、とんでもなく話題になっているミシェル・オバマの「ナチュラル・ヘア」写真については、今週のmess-y.comに書きます)



連載「ヒューマン・バラク・オバマ・シリーズ」
第15回「オバマ大統領が書いた絵本『きみたちにおくるうた―むすめたちへの手紙』 」+(バックナンバー)






ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)
ワシントンハイツ・ツアー(スペイン語の街 "In the Heights"はここで生まれた!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:堂本かおる, category:トランプ, 19:53
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『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』渡辺由佳里(著)を読む。
『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』渡辺由佳里(著)を読む。

 日本の人がとっくにトランプに飽きているのは承知だが、トランプは今後もいろいろと騒動を起こすと断言できる。しかも、次のアメリカ大統領選はすぐにやってくる。というか、もう始まっている。すでに何人か、立候補するつもりだろうと思える政治家がいる。彼らはまだはっきりと立候補宣言はしていない。時期尚早だ。しかし、読めないトランプの動向、混乱の極みにある共和党内部の動向、政権奪回を賭けた民主党の動向、今回の選挙で思わぬ動きを見せた有権者の動向、そして立候補しそうな他の政治家の動向を無理矢理に読みつつ、日々戦術を練っているはずだ。


『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』渡辺由佳里(晶文社)

 『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』は米国マサチューセッツ州在住のエッセイスト/洋書レビュアー/翻訳家の渡辺由佳里氏が2016年の大統領選を描いた一冊だ。とはいえ、トランプのことのみが書かれているわけではない。

 前半はアメリカ大統領選の複雑な仕組み、過去の大統領と大統領選時の出来事が分かりやすく書かれており、今回のトランプ vs. ヒラリー戦に興味を持った人には次回2020年大統領選をより深く理解する助けになるだろう。

 著者はマサチューセッツ州レキシントンという歴史あるリベラルな街に暮しており、そこで一般の人々が自宅の「リビングルーム」で民主主義を大切に育んでいる様子を、住人ならではの体験談として描いている。まさにアメリカン・デモクラシーの根っこの描写であり、日本の民主主義との違いが分かって興味深い。

 同時に、著者も書いているようにアメリカは人種、所得、政党、思想などの組み合せが非常に複雑で、かつ似た背景を持つ者が固まって暮す国ゆえ、高学歴・高所得の白人が多いレキシントンの事情と、他の州、他の都市の事情はまったく異なる。

 だからこそ著者はトランプの政治集会に足を運び、数千人の中低所得白人支持者に囲まれ、トランプ熱に浮かされての攻撃的な態度に居心地の悪い思いを敢えてする。予備選期間中はサンダースの集会にも飛び、そこでは「バーニー・ブロ」と呼ばれた若い白人男性の革命熱を目の当たりにしている。良くも悪くも強烈な個性を放つトランプとサンダースに挟まれ、ヒラリーの選挙キャンペーンはどれほど波瀾万丈となったことか。

 そして、派手な選挙選の陰にはコーク兄弟やウィキリークスのアサンジが暗躍していた。

 後半は著者がそれそれの候補者と社会背景を分析し、良く言えば「多様性」、悪く言えば「分断」が進むアメリカの未来を占う。

 つまり本書に書かれているのは「すでに終った話」ではない。もうすぐそこ、目の前に迫っている2020年大統領選の本格的なスタートを迎える前に「準備」として読めば、きっと役立つ一冊である。





同作の中で紹介されているアメリカのベストセラー『ヒルビリー・エレジー〜アメリカの繁栄から取り残された白人たち』J.D.ヴァンス

連載「ヒューマン・バラク・オバマ・シリーズ」
第15回「オバマ大統領が書いた絵本『きみたちにおくるうた―むすめたちへの手紙』 」+(バックナンバー)






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author:堂本かおる, category:トランプ, 19:35
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アンチ・トランプは、アメリカ式きっついユーモアで。

アンチ・トランプは、アメリカ式きっついユーモアで。

 アメリカではアンチ・トランプ運動が延々と続いている。と言うよりアンチを唱えねばならない発言・行動・政策「オバマに盗聴された」「オバマケア撤廃→最悪の改定案」「トランプとロシアの繋がり」「超ゴルフ三昧で税金大浪費」などなど連日留まることを知らずに飛び出し、アンチを唱えても唱えてもキリが無いのだ。

 硬派なジャーナリストは真っ向から挑む。MSNBCのアンカーマン、ローレンス・オドネルは今夜の番組で自身の背後に「TRUMP GUILTY」(トランプは有罪だ)の大きな文字を写し続けていた。

 1月の大統領就任式翌日に「ウィメンズ・マーチ」を主宰した4人の女性活動家(パレスチナ系、アフリカン・アメリカン、ラティーナ、白人)はその後も「女性のいない日」など大規模な抗議活動を企画、実践し続けている。

 その一方でユーモアを武器にする人々がいる。以下は最近見掛けた「ちょっと欲しくなる」アンチ・トランプ・グッズたちだ。


■スーパーサイズ・ザ・レジスタンス



 3月16日、米国マクドナルドのツイッター公式アカウントにトランプをディスるツイートがなされた。

 「ドナルド・トランプ。実際、君はどーしようもない大統領だ。で、我々はバラク・オバマに戻ってきて欲しいわけ。あと、君の手は小さいよね」

 マクドナルド社は即刻このツイートを削除し、「何者かにハッキングされた」とコメントしたが、ネットでは「社内の誰かだよね」と囁かれている。

 このニュースを見たテキサスのある小さな会社が、マクドナルドのデザインを使ったアンチ・トランプ・グッズのブランド "Supersize the Resistance" (特大サイズの抵抗)をこれも速攻で立ち上げ、売り出した。ブランド名やTシャツに印刷されているフレーズはアメリカでのマクドナルドのキャッチフレーズや関連映画のタイトルに搦めたものだ。さらに「バラク・オバマに戻って欲しい」と書かれたトートバッグもある。

 レジスタンス(抵抗)を謳う割りにライトなデザインだが、収益は全額トランプ政権が廃止しようとして物議を醸している貧困層への食事配達サービス "Meals on Wheels" に寄付される。


■カボチャとパンツスーツ

 趣味の絵本をあれこれサーチしていて見つけたのが、この『The Pumpkin and The Pantsuit』(カボチャとパンツスーツ)だ。表紙には「実話に基づく」と書かれており、物語はこんなふうに始まる。

 「ごく最近のこと、それほど遠くはないところにカボチャとパンツスーツが暮していました」「ふたりは同じ輝く夢を持っていました」「ふたりとも大きくて白い家に住みたかったのです」…以下、ふたりが “白い家” を勝ち取るためにキャンペーンを繰り広げ…………


The Pumpkin and The Pantsuit


絵本のトレイラー。ビヨンセやファレルも登場

 この絵本はCNNのコメンテイター、ヴァン・ジョーンズの「今回の選挙を子どもにどう説明すればいいのだ?」という声に端を発して作られた。全米の(少なくとも半数の)家庭の親が同じ悩みを抱えていたのだ。


 収益はやはりNPOの "Children's Defense Fund" に寄付される。



大人向けにパロディ塗り絵も出ている。「ストレス解消にどうぞ」と書かれているが…



■ペットショップのウィンドゥに……

 この犬のオモチャを初めて見たのは昨年、大統領選真っ盛りの9月にワシントンD.C.に旅行した時だ。ホテルの近くのペットショップのウィンドウに飾られていた。その時はトランプとヒラリーだけだったが、後にニューヨークのペットショップでバーニー・サンダースを見掛けた。


写っていないがバーニー・サンダースもいる


 そして最近のこと、マンハッタンのチェルシーにあるペットショップでなんと新製品ビル・クリントンとプーチンを見掛けた。好評なのか、どんどんラインナップが広がっている。しかしオバマ大統領だけは無いようだ。犬に齧られてボロボロになるのが偲びなく、あえて作っていないのではないだろうか。(発売されれば買って、猫には与えず飾るのだが)


これは……


 メーカー "FUZZU" のウエブサイトには、哀れ犬や猫に弄ばれる政治家人形たちの写真がアップされている。


■怒れ、そして笑え。さらば道は開けん。

 今回のレジスタンス(抵抗)は長引く。眉間に皺を寄せ、拳を振り上げてアンチ行動を続けると同時に、こうして息抜きもしなければやっていられないではないか。だからこそトランプ、コンウェイ顧問、スパイサー報道官はもとよりイヴァンカ、2人の息子、果てはセッションズ司法長官のパロディまで続出する今シーズンの『サタデーナイトライブ』は記録的な高視聴率を稼ぎ出しているのである。民よ、怒れ、そして笑え。さらば道は開けん!





連載「ヒューマン・バラク・オバマ・シリーズ」
第15回「オバマ大統領が書いた絵本『きみたちにおくるうた―むすめたちへの手紙』 」+(バックナンバー)





ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
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author:堂本かおる, category:トランプ, 17:01
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スーパーボウル2017〜多様性を訴えたCM:アンチ・トランプに声を上げた企業

スーパーボウル2017〜多様性を訴えたCM:アンチ・トランプに声を上げた企業

 2月4日に開催されたスーパーボウル。白熱の試合とは別にCMも大きな注目を集めた。トランプ政権のムスリム禁止令、メキシコ国境の壁建設令に危惧を抱いた大手企業数社が、非常に高価なCM放映枠でアメリカの多様性を訴えるCMを流した。中にはメキシコからの違法移民を歓迎する内容のものさえあった。

 CMを再度観るためにアクセスが集中し、サイトが一時的にダウンした企業もあれば、トランプ支持層からのボイコット運動の対象となった企業もある。以下はそのCMである。いずれも英語に不案内でもほぼ内容が分かる構成となっている。


コカ・コーラ Coca Cola
アメリカの愛国歌「アメリカ・ザ・ビューティフル」を多言語で歌ったもの。そもそもは2014年にオンエアされ、その時も批判が起り、今回はコカコーラ・ボイコットのハッシュタグが作られた。


バドワイザー Budweiser


ドイツからアメリカへの移民であったバドワイザーの設立者が「よそ者」として差別され、苦労しながらもアメリカでのビール醸造を目指す物語。このCMもバドワイザー・ボイコットを引き起こした。


84ランバー 84 Lumber (オンエア・バージョン)


内装施行と建材の会社。メキシコからアメリカに不法移民として入国しようと長く辛い旅をする若い母親と少女の物語。トランプが建設しようとしている「壁」を描写したオリジナル・バージョンはスーパーボウルの中継局フォックスから許可が降りず、有刺鉄線の柵のみが写っているバージョンをオンエア。

オンエア・バージョンの最後に「結末はウエブサイトにて」と書かれており、アクセスが集中してサイトは一時ダウン。


84ランバー 84 Lumber (オリジナル・バージョン)


「壁」の建設労働者と「壁」が登場。6分近いミニムービーの赴き。最後に「ここでは成功への意思は常に歓迎される」のメッセージが現れる。保守系の新聞は「この会社はいったい何を考えているんだ?」という記事を掲載した。


エアビーアンドビー Airbnb


さまざまな人種・民族の顔を写し、「あなたが誰であれ、どこから来ようが、誰を愛そうが、または何を信仰しようが、私たちは皆、属すると信じます。世界はあなたが受け入れるほど、より美しくなります」

エアビーアンドビーはアップル、フェイスブック、マイクロソフト、ツイッター社などと共にトランプの政策に反する提訴を行っている。2月6日現在、提訴には97社が参加。


グーグル Google


直接的なメッセージは含まれないが、多種多様な人々の楽しい日常生活の風景を描いている。レインボーフラッグ、ユダヤ教徒が家の入り口に取り付けるメズーザーと呼ばれる祈りのための小さな門柱が意図的に写されている。


ミシュラン Michelin


これも政治的なメッセージはないが、さまざまな人種・民族・言語が現れ、同社のキャラクター、ミシュランマンが手でハートマークを形作っている。

 各企業がこうしたCMを流した理由はそれぞれだろう。企業理念、もしくは設立者の個人的な理念として「アメリカは誰でも受け入れる」を信望しているケースもあれば、ほとんどのIT企業がそうであるように移民や非キリスト教徒なしでは成り立たない業種もある。また、マイノリティ排除の保守性がユーザーに嫌われる業種もあるだろう。

 同時にアメリカ・ファースト派には彼らが思うアメリカの姿がある。

 ふたつの異なるアメリカは今、それぞれが信じる「アメリカの理想像」を掲げているのである。
 




連載「ヒューマン・バラク・オバマ・シリーズ」
第13回「トランプと黒人社会の戦争が始まる」+(バックナンバー)





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author:堂本かおる, category:トランプ, 10:50
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NY:ムスリム・コミュニティに広がる恐怖〜神の手にゆだねる
NY:ムスリム・コミュニティに広がる恐怖〜神の手にゆだねる

トランプによる大統領令「シリア難民受け入れ停止+イスラム7ヶ国民の米国入国禁止」について、ニューヨークのハーレムに暮らすマリ人の友人に聞いた。マリは西アフリカの国。マリ人も含め、ニューヨークにはアフリカ諸国からのムスリム移民が多く暮し、ハーレムにもアフリカ人コミュニティがある。友人は合法滞在者だが、コミュニティの人々は事態を非常に恐れていると言う。

「皆、このことについて話し続けている。多くの者が恐れている。マリは7ヶ国に含まれていないが、次に何が起こるか誰にも分からないと皆、言っている。

違法滞在者についてどういった決定がなされるか待っている状態だ。残念なことに多くの不法滞在者がいる。その多くはアメリカに何年も暮し、働き、税金を払っている。ビザの期限が切れた後も滞在していることを除けば、多くは法を守る犯罪歴の無い者で、中にはアメリカ生まれの子を持つ者もいる。

しかし運命は神の手にゆだねると彼らは言う。イスラム教徒として、起こるべきことは何であれ起こるものだと考えている」



西アフリカ人コミュニティにある確定申告も行う事務所/セネガルの魚料理/アフリカン・レストラン/民族衣装用の生地屋(いずれもハーレム)(時計回り)




連載「ヒューマン・バラク・オバマ・シリーズ」
第13回「トランプと黒人社会の戦争が始まる」+(バックナンバー)





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author:堂本かおる, category:トランプ, 10:43
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ハーレムのイスラム教徒〜私の隣人たち

ハーレムのイスラム教徒〜私の隣人たち

■イエメンからの男性

 先日、TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』に電話出演し、10分ほど荻上さんの質問に答える形式で「イスラム7ヶ国民の米国入国禁止」の大統領令が出された後のニューヨークの状況を説明した。その時に話したイエメン系の男性の話を補足したい。

 番組出演にあたって7ヶ国からの移民の話を聞きたかったが知り合いにはいなかった。ニューヨーク市内のイスラム団体に電話をすれば話は聞けるはずだが、できれば直接会って話をしたかった。そこで「ボデガ」に行くことにした。

 ボデガとはニューヨークに無数にある食品と雑貨を売る店だ。ダウンタウンではデリと呼ばれるが、ここハーレムではボデガと呼ばれる。経営者はドミニカ系か中東系。ハーレムでの密集度は日本のコンビニよりはるかに高い。だから家の近所で数軒回れば7ヶ国の人に一人くらいは当たるだろうと思った。

 さっそく家を出て角を曲がり、まずは自宅にいちばん近いボデガに入った。レジカウンターにいるオーナーらしき年配の男性は携帯で熱心に話し込んでいる。アラビア語ではないかと思う。電話が終るまで待とうと思ったが、おそらく現状について語りあっているのだろう、長くなりそうな気配だった。

 その時、背後からアラブ系の訛りのある英語で「グリーンカード(米国永住権)が〜」という会話が聞こえた。若い店員だった。これはチャンスと思い、日本のライターです、大統領令について話を聞いていいですかと尋ねた。

 その店員はいぶかしげな顔付きで「日本人なのになぜ?」と聞き返してきた。もっともだ。今回の大統領令は日本でも大きな話題になっているし、私自身アメリカに暮らす移民であり、アメリカには戦時下に日系収容所を作った歴史があると説明すると、「へぇ、なるほど」と彼自身の状況を話してくれた。

 その青年は7ヶ国のひとつ、イエメンの出身だが、すでに市民権を取得していた。大統領令が出されたちょうどその日、親戚一家が里帰り中の故郷からアメリカへのフライトに乗っていたと言う。ワシントンD.C.の空港に到着した際、一家の両親は市民権保持者で大丈夫だったが、子ども二人はグリーンカード保持者だったので勾留されているとのこと。

 その日の朝、連日のデモと法律家たちの抗議に屈したトランプ政権は「グリーンカード保持者は禁止令から除外」の発表を行っていた。朝から店で働いてたらしい青年にそのことを告げると、「それは良かった!」と喜んだ。

 途中で録音してもいいかと尋ねると予想どおり、「ほら、分かってると思うけど僕たちはプレッシャー下にあって、家族とかいるし……」。もちろん理解している。だから青年の名前も親戚一家の詳細も敢えて聞かなかった。



イスラムの祝日に着飾った少女たち。ハーレム


■甘いコーヒー

 これが今のハーレムだ。中東出身のムスリムがたくさんいる。他にも西アフリカ諸国からの移民とその子どもたち、南アジア諸国からの移民とその子どもたち、そしてマルコムXのようにどこかの時点でキリスト教から改宗したアメリカ黒人とその子どもたち。

※ハーレムに住んでいるのはアメリカ黒人とアフリカ移民。中東系と南アジア系はそれぞれのコミュニティに暮し、ハーレムに“通勤”している

 だからハーレムの日常生活では当たり前にイスラム教徒と接する。買物に行く店の店員だけでなく、ダンキンドーナツの店員(ほとんどが南アジア系だ。砂糖抜きのコーヒーはコーヒーではないらしく、入れないでと言っても入れる人がいる)、道ですれ違う通行人(ヒジャブを被っていればおのずと分かる)、露天商の中には歩道に小さな絨毯を敷いてお祈りをする人もいる。息子の小学校のクラスメイトにも何人かいた。あるお父さんはPTAのイベントによく来ていた。

 私のハーレムツアーで立ち寄る店にもイスラム教徒が経営するものがある。彼らとは普通に雑談する。宗教の話は滅多にしない。かなり以前、「君、宗教はなに?」と聞かれて「無い」と答え、見事にどん引きされたことはある。別の店で店員の男性に日本のお菓子をお裾分けした時、「ポークは入ってないよね?」と念押しされたことはある。(ラマダンの時期だったが、その人は「やってないんだよね〜」と笑っていた)

 息子の遠足に付き添い、教会見学の際に中に入ろうとしないイスラム教徒の生徒と、ちょっとした話をしたことはある。ヒジャブを被った女の子から「断食を少しずつ練習してるの」と聞いたこともある。

 そういえば、以前勤めていたハーレムYMCAでの同僚だったバングラデシュからの移民で当時大学生だった女性は、ムスリム女性のファッションや、親の世代との宗教観の違いについていろいろ教えてくれた。

 しかし普段はそうした違いを気にすることはほとんどなく、皆、普通の隣人たちだ。そんな人々が今、一週間前と同じように当たり前に働き、学校に通いながらも心の底には大きな恐怖を抱えているのである。



連載「ヒューマン・バラク・オバマ・シリーズ」
第13回「トランプと黒人社会の戦争が始まる」+(バックナンバー)





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author:堂本かおる, category:トランプ, 06:43
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