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ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』オフ・ブロードウェイ版〜移民の街とラテンのリズム

ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』オフ・ブロードウェイ版〜移民の街とラテンのリズム

 ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』を観た。昨年、歴史ヒップホップ・ミュージカル『ハミルトン』を大ヒットさせたリン-マニュエル・ミランダのデビュー作だ。ただしブロードウェイ版はかなり以前に終了しており、今回観たのはイースト・ハーレムにある小劇場 ハーレム・レパートリー・シアター でのオフ・ブロードウェイ版だ。


ブロードウェイ・オリジナル版のポスター


 『イン・ザ・ハイツ』はマンハッタンの北部、ハーレムのさらに北に広がるワシントン・ハイツという街を舞台としている。カリブ海ドミニカ共和国からの移民の街だが、プエルトリコなど他の島や国からのヒスパニックが混じって暮らしている。

 ここは移民たちが必死に働く街だ。住人の多くは貧しく、犯罪も起こる。けれど早口のスペイン語と、心踊るラテン音楽と、カラフルな色彩にあふれた街でもある。

 主人公のウスナビ(オリジナル版では原作者のリン-マニュエル・ミランダが演じた)は小さな「ボデガ」を経営している。ボデガとは、ダウンタウンでは「デリ」と呼ばれる小さな食料雑貨屋だ。毎朝、地元の人々に朗らかにコーヒーを売るウスナビは、幼い頃に両親とともにドミニカからニューヨークに移民としてやってきた若者だ。島のことはあまり覚えていない。両親はもう亡くなってしまった。身寄りはおばあちゃんだけ。生まれ故郷の島に戻ることを夢見ているが、美容師のヴァネッサに夢中でもある。

 ウスナビのボデガの隣りにはヴァネッサが働く美容院と、ヴァネッサの友人ニーナの両親が経営する小さなタクシー会社がある。それぞれの店が、それぞれに経営上の問題を抱えている。それぞれの店で働く人々はウスナビにとって家族のような存在だが、皆、やはりそれぞれに人生の問題を抱えている。

 こんなワシントン・ハイツの様相が、ヒップホップ/ラテン音楽/ソウルミュージック/ブロードウェイ音楽を掛け合わせた歌と踊り、涙あり、笑いありの会話によって活き活きと描かれる。



ハーレム・レパートリー・シアターのバナー


 『イン・ザ・ハイツ』のクリエイター兼オリジナル版の主役をつとめたリン-マニュエル・ミランダはワシントン・ハイツで生まれている。周囲から常にラテン音楽が聴こえてくる街で暮らし、父親はミュージカル・ファン。リン-マニュエル自身はヒップホップ世代。3種の音楽を掛け合わせたミュージカルを作ることはリン-マニュエルにとって自然の成り行きだった。キャストにアフリカン・アメリカンの俳優が加わったことから、R&Bも歌われることとなった。

 しかし当時のブロードウェイで「ヒップホップ・ミュージカル」は斬新過ぎた。ヒットするとは誰も思わなかった。なのに大当たりしてしまった。2008年、本作はトニー賞、グラミー賞を獲得し、翌年にはピューリッツアー賞をも受賞している。

 以後、リン-マニュエルはミュージカルや映画への出演、制作、脚本、作曲などで多彩な活躍を続けている。同時に『イン・ザ・ハイツ』は世界各国での上演が今も続いている。日本では2014年に日本人キャストによって上演され、昨年は韓国ヴァージョンも日本公演をおこなっている。



2008トニー賞でのパフォーマンス


 『イン・ザ・ハイツ』の主人公はワシントン・ハイツという街なのである。貧しい街だからこそ住人は脱出を夢見る。しかし、ここには家族が、友人が、そして自分を育んでくれたすべてがある。だが、住人たちは移民か二世だ。移民にとって、二世にとって、故郷とは島なのか、ハイツなのか。

 ニューヨークならではの移民の物語を、これもニューヨークならではの異なる音楽のミックスによって織り上げた作品が『イン・ザ・ハイツ』なのである。





ワシントンハイツ・ウォーキング・ツアー
『イン・ザ・ハイツ』はここで生まれた!


 

author:堂本かおる, category:ラティーノ, 17:36
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「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌う資格 〜 "アメリカ人" の定義。
「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌う資格 〜 "アメリカ人" の定義。

必要があってあれこれ検索していて、偶然この画像に行き当たった。

3年前、メジャーリーグのオールスター戦開幕時にサルサ・シンガーのマーク・アンソニーが『ゴッド・ブレス・アメリカ』を歌うことになった。すると「なんでメキシコ人が」と文句を言う者たちが現れた。中にはラティーノへの侮蔑語を使う者もいた。

ちなみに野球選手には中南米各国からのラティーノが多い。アレックス・ロドリゲス選手もアメリカ生まれのドミニカ共和国系だった。つまり野球が上手ければ選手としてなら使ってやるが、ラティーノにアメリカを象徴させるわけにはいかないということなのだろう。

以下はその時のマーク・アンソニーのコメント。

「私はニューヨークで生まれ育った。私はアメリカ人で、プエルトリコ人で、プエルトリコは米国領だ」

「この曲を作ったアーヴィング・バーリンはロシア生まれのユダヤ系移民だった」

「私にこの曲を歌う資格がないなら、誰ならいいのだろう」




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ヒューマン・バラク・オバマ 第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」

ヒューマン・バラク・オバマ 第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独

ヒューマン・バラク・オバマ 第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために

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ヒューマン・バラク・オバマ 第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由




ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
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author:堂本かおる, category:ラティーノ, 06:05
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移民都市NYが生んだ知られざるスーパースター 〜3人に1人がヒスパニック

ロメオ・サントスが、ジェイ・Z御大のロック・ネイションが新たに設立したラテン部門のCEOに就任とのニュース。

 

去年『ワイルド・スピード7』にロメオ・サントスがチョイ役で出ていた。その時は、へー、映画にも進出するんだねと思ったものの、その後は音沙汰が無かった理由はこれだったのか。

 

このシーン覚えてますか?

 

ロメオ・サントスはブロンクス出身のバチャータのスーパースター。バチャータとはカリブ海のドミニカ共和国発祥のラテン・ロマン歌謡。ロメオもちょっと甘過ぎるかと思えるほどの声で切なく切なく切なく……そしてもちろん締めはねっとりセクシーに歌う。

 

そもそもはアベンチュラというバチャータ・バンドのリード・シンガー。10代のラティーナたちに絶大な人気を誇った、言うなればラテン・ビートルズ、ラテン・ジャクソン5、ラテン・ワンダイレクション。メンバー4人のうち1人はドミニカ生まれ、ロメオを含む3人がブロンクス生まれ。ちなみにロメオは父親がドミニカ系、母親がプエルトリコ系のカリブ海ラテン・ミックス。

 

後にロメオはソロとなり、2013年にはマディソン・スクエア・ガーデン3公演ソールドアウト、翌2014年にはなんとヤンキー・スタジアム2公演ソールドアウトという前代未聞の記録を打ち立て、まさに超弩級スーパースターとなった。

 

・・・・

 

生まれも育ちもニューヨークのロメオは英語とスペイン語のバイリンガルだけれど、これまでリリースした曲はすべてスペイン語。それでヤンキー・スタジアムを2日完売したのだから彼の人気の程だけでなく、スペイン語曲の需要の高さもよく分かることと思う。ニューヨーク市の人口840万人のうち、今では3割がヒスパニックなのだ。(コンサートには他州はもちろん、本国ドミニカ共和国やプエルトリコからもファンが飛んで来ていると思うけど)

 

こんなふうに英語を話すアメリカ人(移民二世)でありながら、あえてスペイン語のみで歌ってスーパースターとなった先例はマーク・アンソニー。彼もニューヨーク生まれのプエルトリコ系。プエルトリコはアメリカ領であり、したがって正確には“移民”ではないものの、生活環境、社会的ポジションとしてはロメオと同じ。

 

そのマーク・アンソニーが巧みだったのは、ハリウッド映画には英語で出演し、非ヒスパニックのアメリカ人にも知名度を広めたこと。ロメオが『ワイルド・スピード7』に出演し、今、アメリカで公開中の映画版『アングリー・バード』に声の出演をしているのもマーク・アンソニーに倣っているのだろうと思う。

 

いずれにせよ、アメリカには「ラティーノだけが知っているスーパースター」がいて、その中から、やがて世界的な知名度を得る者が輩出される。それを見越したビジネスマン、ジェイ・Zはラテン音楽へ手を広げるのだな。もしかするとロメオの映画出演は、契約に先立ってすでにジェイ・Zから出された指令なのかしらん、と穿ってみるなど。

 

※ドミニカ系アメリカ人:全米に180万人。人口比では0.54%に過ぎないが、うち4割がニューヨーク市に集中し、ニューヨーク市のラティーノの中では最大多数派。特にマンハッタンのハーレムに隣接するワシントンハイツ、およびブロンクスに多い。

 


以下、オマケとしてドミニカ系アメリカ人アーティストのリストを。


・ゾーイ・サルダナ(アバター、スタートレック)
・ミシェル・ロドリゲス(ワイルド・スピード)
・トリスタン・ワイルズ(アデル『Hello』ビデオ)
・ダーシャ・ポランコ(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック)
・ファボラス(ラッパー)
・アーヴ・ゴッチ(ラッパー)
・40 Cal.(ラッパー)
・J. R. ライター(ラッパー)
・ジュエルズ・サンタナ(ラッパー)
・トリナ(ラッパー)
・キャット・デルーナ(シンガー)
・アレックス・ロドリゲス(NYヤンキーズ)
・オスカー・デ・ラ・レンタ(故人、デザイナー)




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author:堂本かおる, category:ラティーノ, 23:33
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ブロンクスの風景。
author:堂本かおる, category:ラティーノ, 15:49
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ブロンクスの風景。
author:堂本かおる, category:ラティーノ, 15:46
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スパニッシュハーレムの風景。
author:堂本かおる, category:ラティーノ, 05:02
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ワシントンハイツの風景。
author:堂本かおる, category:ラティーノ, 06:24
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ワシントンハイツの風景。
author:堂本かおる, category:ラティーノ, 04:21
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ワシントンハイツの風景。
author:堂本かおる, category:ラティーノ, 08:18
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サウスブロンクスの風景。
参ったか。
Akademic

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author:堂本かおる, category:ラティーノ, 16:41
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