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ハッピー・サンクスギビング、トランプ!

ハッピー・サンクスギビング、トランプ!


11月24日はサンクスギビングだった。由来はともかく、今では家族で集まりターキーディナーを囲む日となっている。日本のお正月やお盆の感覚だ。前日は帰省ラッシュが起こるし、この日にターキーを食べられないのは日本人がお正月にお雑煮が食べられないのに等しい。恵まれない人々には食材が無料で配られ、ホームレス・シェルターなどではターキー・ディナーが振る舞われる。

しかし、今年のサンクスギビングは家族との団欒を諦めた人もいた。ドナルド・トランプ支持/不支持を巡って家族と諍いになり、このまま集ってもせっかくの場で再度の論争勃発は免れないからと自宅に留まる人たちが出たのだ。

というわけで、アメリカ人にとってかけがけのない祝日まで台無しにしたトランプの、ここ最近のニュースをまとめてみる。内容は玉石混淆だが、要は選挙日以来ずっと気分が晴れないままでいる筆者の憂さ晴らし的まとめなので悪しからず。

■メディア・サミット

11月21日、トランプは主だったメディアのCEOやアンカーパーソン30〜40人程度を自身の本拠地、トランプタワーに呼びつけ、会合を開いた。内容はオフレコとされたがリークした情報によると、要は選挙戦中にさんざんトランプ・バッシングを続けたメディアへの憤怒の炸裂と、以後の報道姿勢への威嚇行為だったと思われる。ニューヨーク・ポスト紙はトランプが「我々は嘘つきの部屋にいる」と言い続けたとしている。

■天敵ニューヨーク・タイムズにも一撃

翌日にはトランプにとってメディア界最大の天敵、ニューヨーク・タイムズ紙の本社に自ら赴いてのミーティング。こちらは当日の朝にいったんドタキャンするも結局、その日の午後に開かれた。ミーティングは同席したタイムズ記者たちがツイッターで実況中継するスタイル。トランプはタイムズ社主に対して一応、温厚な態度で話を始めながらも、「選挙中はずいぶん粗っぽく、不公平に書いてくれたな」攻撃を4分間も続けた、首席戦略官&上級顧問に任命したスティーヴン・バノンが主宰する極右メディア、ブレイトバートを「単なるメディアだ」などと発言 (´・_・`)

■CNNの密かな報復

メディア・サミットに呼び出されたCNNのウォルフ・ブリッツァーが、ひっそり反撃を企てていた。22日にオバマ大統領から自由勲章を授与され涙ぐんだエレン・デジェネレスの番組での企画。先にも書いたように今年のサンクスギビングは家族の食卓が揉めるので、「予めTVの有名キャスターを仲介役にオーダーできます」というジョーク・ビデオを作ったのだ。

ある家庭に出向いたブリッツァーはいつもの沈着冷静なトーンで家族の言い争いを裁き、ファクトチェックも行う。やがて一家の祖母が「バラク "フセイン" オバマが窃盗を合法化したと聞いたわ」 ブ「それは全くもって間違っています」 祖母「じゃあ、私のメガネはどこよ?」 ブ「あなたの頭にありますよ」

オバマ大統領を「ケニア生まれ」「イスラム教徒」と言い続けたトランプおよび支持者を笑い者にしたのだ。

■気分はすでに大統領

オバマ大統領夫妻がターキーディナーの配膳ボランティアをしていたサンクスギビング前日、トランプは大統領による恒例のサンクスギビング・ビデオ・メッセージのコピーのような代物をアップしていた。ホワイトハウスっぽく見える背景に星条旗を配し、「アメリカはひとつになりましょう」とのたまった。このビデオがアップされた時点で、トランプはすでにフロリダ州パームビーチのリゾートに飛んでいたのだが。

■ニューヨークは1日100万ドルを払う

年が明けるとトランプはホワイトハウスに移るが、妻メラニアは10歳の末子バロンの転校を避けるためにニューヨークに留まると発表された。そのためニューヨーク市もトランプタワーや学校の警備を行わねばならず、かつトランプ自身も頻繁にニューヨークに戻ってくるため、警備の費用がなんと1日あたり100万ドルと算出された。ニューヨーク市民のうちトランプに投票したのはわずか18%に過ぎないが、そのニューヨーカーの、いわゆる血税がトランプ警備に使われてしまうのである。

ちなみにバロンは来年6月に今の学年を終えるとワシントンD.C.に移るのか、それとも高校までのプライベート一貫校につき、そのまま通い続けるのか。穿った見方をすれば、英語力の面からファーストレディとして役不足になるであろうメラニアを意図的に遠ざけておくための策かと思えたりもするかもしれなかったりもするするのである。

■シークレットサービスは300万ドルを払う。トランプに。

こうして妻子がニューヨークに残るため、シークレットサービスがトランプタワーの2フロアを貸し切り警備。家賃が年間300万ドル。大家は言うまでもなくトランプ本人。

■149ドルのクリスマス・オーナメント

最上階にトランプが住むマンハッタンのトランプタワー、一階と地階は一般に解放されており、土産物屋がある。以前はトランプ印の金の延べ棒型の貯金箱など品のないモノを売っていたが、今は例の「Make America Great Again」(アメリカを再度偉大にする)aka #MAGA の野球帽が売れているらしい。ついでにその帽子のミニチュアで14金を施したクリスマス・オーナメントがアマゾンで149 ドル(!)で売り出され、すでにソールドアウト。しかし、商品レビュー欄が★ひとつのジョーク・レビューで溢れかえってしまった。



「もっとまともなオーナメント(ヒラリー)を注文したにもかかわらず、これが届いてしまった」「メイド・イン・チャイナだ」「買いたいがメキシコに支払わせるオプションがない」「(オーナメントによって)ツリーが私の妻にとても攻撃的になってしまった」etc.,

そして、トランプ・ストアのウエブサイトでは、すでに「第45代大統領」のロゴ入りグッズが多種多様売られているのである。OMG.

■授業には2回しか出席せず

トランプは当選後、ホワイトハウスでの機密情報会議に2回しか出席しておらず、これは歴代の次期大統領に比べると格段に少ないらしい。ケタ外れに外交知らないんだから出席しろ。というか、自分でやる気がないのである。担当長官に丸投げするつもりなのであろう。

■仇敵は土下座の上、召し上げる

トランプ組閣が進む中、国務長官には元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニと、前回の大統領選で共和党候補となったミット・ロムニーの名が上がっている。しかしロムニーは今回の選挙戦中、トランプ絶対反対を唱え、結局、見つけられずに終ったがトランプに対抗する候補者を探すことまで行っている。

その "謀反" を鑑み、トランプ陣営はロムニーに「国務長官になりたければ、選挙期間中の非礼を公式に謝罪せよ」と通告しているとの報道があった。絶対に許さない人間というのはいるものだが、仮にロムニーが「ごめんなさい。ボクが悪かったです」と謝って国務長官になったとして、そんな関係性で政権はうまく機能するのだろうか。特に外交は国務長官に丸投げ予定なのに。

いずれにせよアメリカ、次はクリスマスである。クリスマス2016に幸あれ。

 

 

 

 

 

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ヒューマン・バラク・オバマ
第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」
第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独
第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために
第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?
第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由
第6回:大統領はクリスチャン〜米国大統領選と宗教





ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)
ワシントンハイツ・ツアー(スペイン語の街 "In the Heights"はここで生まれた!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:堂本かおる, category:大統領選, 09:35
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マイノリティは "トランプ大統領" を信用しない 〜選挙から一夜明けて
マイノリティは "トランプ大統領" を信用しない 〜選挙から一夜明けて


トランプの勝利演説の冒頭:今、アメリカは分断による傷を縫い合わせる時です。ひとつにならなければなりません。(中略)これまで私を支持しなかった人々、ほんの少数の人々ですが(観衆の笑い)、あなたがたの導きと助けを得たいのです。共に働き、我々の偉大な国をひとつにするために。

当選するや否や、いきなり「大統領らしい」演説となった。今後、トランプはこれまでのような、あからさまな女性/ラティーノ/イスラム教徒/黒人/障害者……への差別発言を控えるだろう。しかし、これまで散々傷付けられてきたマイノリティたちは一夜明けて急に掌を返したように「ひとつになりましょう」と言われても、トランプを信じることなど到底、出来ない。

トランプが大統領として機能し、これ以上の摩擦を避け、アメリカを偉大にしたいのであれば、トランプ自身がマイノリティを人間として扱う真摯な対応策を施行しなければならない。



ドキュメンタリー映画『トランプ・ランド』のマイケル・ムーア監督がトランプ勝利予知の記事を今年の夏に書いている。内容は驚愕の精度だ。

「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」

だが、天才マイケル・ムーアですら見逃しているポイントがある。人種問題だ。ムーアも「投票の列/貧しい黒人とかヒスパニックの地域だったら/うまく投票できないようにつくられている」「怒れる白人、最後の抵抗/俺たちに指図してきた黒人の男に8年間耐えなきゃいけなかったのに〜」と書いてはいるが、記事は製造業の衰退、低賃金/失業にあえぐ労働者の心情によりポイントを置いている。

他の多くの評論家や有権者も言うように、今回の件、これまで陽の目を見ること無く苦労ばかりを強いられてきた「労働者」の存在は非常に大きい。だが、彼らの怒りの底にはアメリカの人種問題が根深く横たわっている。労働者だけでなく、アメリカという国は「黒人の男に8年間も指図される」ことに耐えられなかった。それを当人が意識していたにせよ、無意識だったにせよ。



今回の一連の騒動はそこが出発点となっている。8年前の “史上初の黒人大統領” の誕生だ。そこに他の様々な問題が複雑に絡み合い、雪だるま式に膨れ上がった。しかし、人種問題はマジョリティ側にはなかなか見えない。昨夜、CNNのコメンテイター、ヴァン・ジョーンズの涙ぐみながらのコメントが話題となった。

「(差別主義者が大統領になったことを)子どもにどう説明するのか」

このコメントに対し、ある白人コメンテイターが「人種問題ばかり言っていても仕方ない」という主旨の返答をした。その時のジョーンズの「これほど言っても通じないのか」という絶望の表情。アメリカの黒人差別はいまだに「死」にすらつながっているという事実にマジョリティ側は気付かない。



以下はある黒人男性のインスタグラム。写真は「一筋の光もない暗闇」。今後の4年間を静かに忍耐強くサバイバルする決意が書き添えられている。

「これからの4年間、恐れはしても善良であるために邪悪さも憎しみもなく歩き通す」



黒人だけではない。ヒスパニック、イスラム教徒たちも戦々恐々としている。イスラム教徒の幼稚園児が他の子どもに虐められたという記述もすでに見掛けた。



NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズも同様の思いを抱き、しかし望みを捨てずにインスタグラムにケンドリック・ラマー『オールライト』をアップし、以下のコメントを添えている。

「親とリーダーたち、どうか子どもたちに、こんなことになった今も子どもたち自身がより良い世界に変えられると教えてほしい!」

選挙翌日の今日、カリフォルニア州の複数の高校から大量の生徒がトランプへの抗議のためにウォークアウトした。同州には親や家族、もしくは自分自身が不法滞在者であり、問答無用の強制送還による家族離散が起こり得るヒスパニックの生徒が少なからずいる。今、全米の不法滞在者は推定1,100万人。



これはシカゴのある学校の教室に貼られたメッセージ。

親愛なる滞在資格のない生徒へ、この教室には壁はないよ
親愛なるメキシカンの生徒へ、君たちはレイプ犯でも麻薬密売人でもない
親愛なる黒人の生徒へ、この教室では君たちの命も大切だ
親愛なる女生徒へ、男は君の身体をつかんだり出来ない
親愛なるムスリムの生徒へ、君たちはテロリストなんかじゃない


子どもたちはすでに始めている。
この国はオールライトだ。
そう信じたい。


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ヒューマン・バラク・オバマ
第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」
第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独
第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために
第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?
第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由
第6回:大統領はクリスチャン〜米国大統領選と宗教





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author:堂本かおる, category:ブラックカルチャー, 08:44
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欅坂46とクリーヴランド・インディアンズの「ワフー酋長」〜人種民族仮装

欅坂46とクリーヴランド・インディアンズの「ワフー酋長」〜人種民族仮装

今年、アメリカのハロウィンは特に大きな問題が起こることもなく無事に終了したが、背後では例年どおり「他の人種や民族の仮装はNGか否か?」が論じられた。時を同じくしてメジャーリーグではクリーヴランド・インディアンズ対シカゴ・カブスによるワールドシリーズが佳境に入っており、インディアンズのキャラクター“ワフー酋長”が「差別的か否か?」の論争が巻き起こっている。


クリーヴランド・インディアンズのキャラクター、ワフー酋長

人種仮装といえば、顔を黒く塗って黒人を真似るブラックフェイス(黒塗り)がよく知られている。ブラックフェイスは現在のアメリカでは完全にタブーだが、だからこそ人種差別主義が意図的に行ったり、もしくは歴史や経緯を知らない若い芸能人が悪意なくカメラの前でやってしまい、批判されて謝罪する事例がたまに起こる。差別目的で行う者は悪質だが、黒塗りが意味するところは十分に自覚している。逆に好意的な理由で、もしくは知識も悪意もなくやってしまうケースが問題を複雑にする。

日本では昨年2月にラッツ&スターとももいろクローバーZの黒塗りが大きな議論となった。この件、日本国内では「黒人へのリスペクトなのだからいいのではないか」という声が少なからずあった。

今、議論されているインディアンズのキャラクター、ワフー酋長についても、アメリカ国内でも「戦闘のイメージ、勇猛果敢なイメージだからいいのではないか?」との声がある。ワフー酋長のイラストは「真っ赤な肌」「鉤鼻」「剥き出した大きな歯」とインディアンのステレオタイプをとことん誇張したものだ。黒人を「真っ黒な肌」「真っ白な白目」「真っ赤で分厚い唇」に描くのと同じ。加えてインディアンには「普段は無口で神秘的」だが「戦闘時には勇猛果敢で残虐」、黒人なら「間抜けで陽気」で「歌やダンスが上手い」という、やはりステレオタイプな人種民族描写がある。ちなみにアジア系の場合は外観は「黄色い肌」「つり上がった細い目」、昔はここに「出っ歯」が加わり、キャラクター・イメージは「英語がヘタ」な「移民」だ。


“赤塗り”でワフー酋長となっているクリーヴランド・インディアンズのファン


黒人の肌の色は(白人に比べると)濃い。黒人は音楽とダンスの豊かな文化を持ち、それは白人のものとは異なる。インディアンの肌の色も(白人に比べると)濃い。(白人の視点では)インディアンは(占領者としてやってきた)白人に対して残虐に闘った。

アメリカを支配した白人はマイノリティをコントロールし、社会の底辺に置き、その外観とキャラクターをステレオタイプ化し、笑い者にした。時には「勇猛果敢」など称賛もあったが、ほとんどの場合、インディアンをインディアンであるというだけの理由で見下し、黒人を黒人であるというだけの理由で見下した。マイノリティは支配者層が作り上げたステレオタイプに押し込められ、それ以外の個性を認められることはなかった。マルコムXが子どもの頃、弁護士になりたいと言うと、白人の教師が「黒人だから無理だ。大工になりなさい」と言ったのは有名な話だ。2016 年の現代においても機内で急病人が出た際、黒人医師が「医師です」と名乗り出てもフライトアテンダントが信じなかったという件が連続して報じられている。

アメリカでの『チビクロサンボ』絶版も同じくステレオタイプに由来する。『チビクロサンボ』が物語として優れているのは言うまでもない。筆者自身、子どもの頃はトラが溶けてできたバターで焼いたパンキーキを食べたくてしかたなかったという思い出がある。しかし、チビクロサンボは「トラに何度も何度も騙されて身ぐるみ剥がされるほど間抜け」なキャラクターとして描かれている。

チビクロサンボが白人であれば問題は起こらなった。白人は白人であるというだけの理由で貶められた経験を持たないゆえに、時に間抜けなキャラクターや醜いキャラクターとして描かれても笑って見過ごせる。しかし間抜けで醜いとしか描写されてこなかった、そして今もそう描写されるマイノリティはそうしたステレオタイプを払拭していかねばならない。そうでなければ「医師」と名乗っても信じてもらえない社会のままであり続ける。


アメリカインディアン国民会議によるクリーヴランド・インディアンズのキャラクター抗議広告。架空の「ニューヨーク・ユダヤ人」「サンフランシスコ中国人」はダメだと誰でも思うが、「クリーヴランド・インディアンズ」が良しとされるのはなぜかを問うている。


日本の人がこうしたステレオタイプの描写の害を理解し辛いのはアメリカの人種にまつわる歴史を知らず、知識として知ってはいてもそれが当該グループや個人、社会にどういった影響を与えてきたか、今も与え続けているかを生で見る機会がないからだ。欅坂46がナチスの制服にそっくりな衣装を着てステージに立ててしまうのも同じ理由だ。ある意味、仕方ないとはいえ、グローバル化した現代にあって「仕方ない」はもはや言い訳になり得ない。欅坂46について「当人たちは衣装を着せられているだけ」と擁護する声もあるが、平均年齢18〜19歳は大学生に相当し、アメリカで仮に大学生であれば退学処分も検討されるだろう。

クリーヴランド・インディアンズのワフー酋長については過去に何度も抗議運動や訴訟があり、現在、チームはワフー酋長を全面には押し出さないようにしているが、今もユニフォームやグッズに使われている。今、インディアンズはワールドシリーズに勝ち、チャンピオンになりそうな勢いだ。(これを書いている今、ワールドシリーズ第6戦が行われている)インディアンズが勝てば、ファンはワフー酋長のイラストを振りかざして優勝を祝うだろう。

MLBのコミッショナーは、ワールドシリーズ終了後にインディアンズのオーナーとワフー酋長について話し合うと発表している。---END---

 

 

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ヒューマン・バラク・オバマ
第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」
第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独
第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために
第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?
第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由
第6回:大統領はクリスチャン〜米国大統領選と宗教





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author:堂本かおる, category:アメリカ文化・社会, 11:48
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大統領はクリスチャン〜米国大統領選と宗教:ヒューマン・バラク・オバマ第6回

 

大統領はクリスチャン〜米国大統領選と宗教:ヒューマン・バラク・オバマ第6回

■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■

アメリカ大統領選と宗教は切っても切れない関係にある。

アメリカは国教を定めていないが実質的にはキリスト教国であり、これも法で定められているわけではないが、大統領はクリスチャンでなければならない。オバマ大統領も含め、歴代44人の大統領は全員がクリスチャンだ。(*)しかもジョン・F・ケネディが唯一のカトリックであり、他はすべてプロテスタント。今回、もしバーニー・サンダースが勝っていれば史上初のユダヤ教徒の大統領の誕生となったが、実現しなかった。

サンダースがヒラリー・クリントンに破れたのは宗教が少なくとも直接の理由ではないが、黒人差別、女性への偏見が根強く残る国でありながら結果的にまずは黒人が大統領になり、次いで今、史上初の女性大統領の誕生の可能性が濃厚となり、それでもキリスト教徒以外の大統領の誕生は見送られることとなった。

ちなみにサンダースが立候補を表明した際、グーグルでは盛んに「サンダースはユダヤ系なのか?」が検索され、「サンダースの年齢は?」を上回ったと言う。若々しさも重要な要素であるアメリカ大統領選だが、サンダースのいかにも高齢な外観より、ユダヤ教徒であるか否かが有権者の関心を引いたのだ。

*リンカーンなど初期の数人の大統領の信仰心を疑問視する歴史家もいるが、少なくとも対外的には全員がクリスチャンだった

■中絶と同性婚

大統領選のたびに論争となるのが中絶と同性婚の是非だ。どちらも敬虔なキリスト教徒は大反対する。同性婚については、ついに米国最高裁が全米規模で認める裁定を下して決着したと思われたが、すると「宗教の自由法」が持ち出された。たとえば店主が自分の信仰に基づき、同性愛者とのビジネスを拒否できるといった法律だ。あるベーカリーが同性婚の披露宴用のケーキのオーダーを拒否した件が報じられ、論争となった。昨年、インディアナ州でこの法案に署名したのは現在、共和党の副大統領候補となっているマイク・ペンス州知事だ。

アメリカにはキリスト教系のメディアもあり、各候補の政策をクリスチャンの視点から詳しく報じる。クリスチャンではあっても信仰心の篤さ、政策との兼ね合いはそれぞれ異なるため、こうしたメディアはそこを追求する。

もっともやっかいなのは無信仰者、無神論者だ。現在のアメリカで無神論者を名乗ると大統領には到底なれず、信仰の強い地域では一般人としての生活もし辛くなる。無信仰者も同様だ。今回、リバタリアンとして立候補しているゲイリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事はディベートで信仰について聞かれ、しどろもどろになった。クリスチャン家庭の出身だがほとんど信仰心は無く、しかしそれを明言するわけにもいかず、答え方に窮したのだった。

■宗教と人種

アメリカでは宗教は純然たる信仰だけの問題ではない。国の歴史上、宗教と人種・民族・出身国が強くリンクする。ゆえにオバマ大統領は自身の信仰について、非常な苦労を強いられてきた。

よく知られている件として、オバマ大統領の父親がケニア人であったことからアンチ・オバマ派が「オバマはケニア生まれでは?」「ならばイスラム教徒では?」と騒ぎ、ドナルド・トランプが「出生証明書を公開しろ」と叫び続けた問題がある。

この件には複数の偏見と疑念が重なっていた。まずは「ケニア人」「アフリカ人」「黒人」を大統領にするわけにはいかないという人種偏見。次に911テロ後に広がったイスラム教への恐怖。このふたつがない交ぜになり、さらにはイスラム教徒=アラブ人と思い込むアンチ・オバマ派も出た。2008年、共和党大統領候補ジョン・マケインの選挙集会中、ある支持者がマケインに向って「オバマはアラブ人でしょ?」と問いかけ、マケインが返答に四苦八苦したシーンは当時、大きく報じられた。

この問題はつい先日、トランプがようやく「オバマ大統領はアメリカ生まれ」と認めるまで延々8年間も続いたが、同時にオバマ大統領が信者として所属していたキリスト教会の件でも揉めたのは皮肉としか言いようがない。

オバマ大統領はクリスチャンであり、地元シカゴにあるトリニティ・ユナイテッド教会のメンバーだった。夫妻の結婚式と二人の娘の洗礼式は同教会のジェレマイア・ライト牧師が執り行っている。

このライト牧師の教会での過去の説教の内容が、2008年の大統領選キャンペーン中にメディアによって取り上げられた。同教会はいわゆる黒人教会であり、ライト牧師の説教には白人への強い非難が含まれていた。また、オバマ大統領(当時は上院議員)と民主党候補の座を争っていたヒラリー・クリントンを黒人ではないが故に黒人の苦しみは分からないと、これも強く批判していた。ライト牧師の言葉があまりに過激であったためオバマ大統領への批判も高まり、最終的にオバマ一家は同教会から脱会することとなった。

この件もまた、宗教そのものではなく、人種問題が取り沙汰されたのだった。

そして昨年、オバマ大統領は毎年恒例の「全米祈りの朝食」と呼ばれる会での演説の内容について共和党議員や保守派からの強い批判を浴びた。この会は米国議会とキリスト教団体の主宰により全米と世界各国から3,500人もの宗教関係者、政財界のトップ、知識層などが招かれるもので、2015年はダライラマも招待されていた。

キリスト教を基本とする場だけにオバマ大統領の演説も「神にすべての称賛を」から始まり、「この会は私自身の信仰の道を振り返ることができる場でもあります」など、キリスト教信者としての言葉に満ちていた。

しかし演説半ばでISIL (ISIS) に触れ、このような残酷な行為は他国や他宗教でのみ起こるのではなく、十字軍の遠征や宗教裁判が神の名において行われ、米国では奴隷制や人種差別がやはり神の名の下に行われたと語った。

言うまでもなく、ISISと十字軍を比較したことに対して猛烈な反発が起こった。ジム・ギルモア元ヴァージニア州知事(共和党)は「アメリカの全クリスチャンを傷付けた。オバマ大統領はアメリカの価値観を信じていない」と怒りを露にした。こうした反応をオバマ大統領は当然、予測していた。演説の後半には「アメリカは世界で最も宗教心の強い国である」「信仰と政府の区分の必要性」「宗教的マイノリティを攻撃してはならない」などと語っている。自身もキリスト教徒でありながら(キリスト教徒であるからこそ)、アメリカのキリスト教信仰の在り方、および政府との関わりを自己批判したのだった。

この宗教的視野の広さは生い立ちによって育まれたものと思われる。オバマ大統領の父親はケニア人でイスラム教徒であったが、それほど信仰熱心ではなかったようだ。しかし母の再婚相手はインドネシア人で、少年オバマは4年間をアジア最大のイスラム教国で過ごしている。ここでイスラム教への知識と理解を得たはずだ。これは現在のアメリカのリーダーとして貴重な資質と言える。「全米祈りの朝食」での演説にあったように、イスラム教過激派によるテロが頻発する時代ゆえに、イスラム教徒全般に偏見を抱き、忌避し、差別を続ければ事態は悪化こそすれ、決して良くはならない。ちなみにオバマ大統領は一連のテロ犯を「"イスラム教"過激派」と呼ぶことすら拒否し、これも批判されている。

いずれにせよ、アメリカを理解するにはアメリカにおけるキリスト教の在り方と影響力を知ることが必須となる。

■白人・男性・キリスト教徒

アメリカの上院議員は各州2名、全米50州でちょうど100人。オバマ大統領も含め、上院議員が大統領へ立候補するケースも多い。以下は現在の上院議員の宗教分布。プロテスタント、カトリック、モルモン教を合わせると88%がキリスト教徒。人種、性別のデータと併せると、やはり「白人・男性・キリスト教徒」が圧倒的多数派となる。

プロテスタント:55人
カトリック:26人
モルモン教:7人
ユダヤ教:9人
仏教:1人
無し:2人
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計100人



白人:95人
ヒスパニック:3人
黒人:2人
アジア系:1人
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計100人



男性:80人
女性:20人
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計100人

 

 

 

 

 

 

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ヒューマン・バラク・オバマ 第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」

ヒューマン・バラク・オバマ 第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独

ヒューマン・バラク・オバマ 第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために

ヒューマン・バラク・オバマ 第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?

ヒューマン・バラク・オバマ 第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由




ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author:堂本かおる, category:オバマ大統領, 07:51
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ハーレムにユリ・コウチヤマの壁画完成〜マルコムXの最期に居合せた日系アメリカ人活動家
ハーレムにユリ・コウチヤマの壁画完成〜マルコムXの最期に居合せた日系アメリカ人活動家

10月23日、日曜の午後。ニューヨークのハーレムでユリ・コウチヤマの壁画完成の記念イベントがあった。




ユリ・コウチヤマは日系二世でありながら1960年代のハーレムに家族と共に暮し、社会活動家となってマルコムXとも親好を結んだ人物。マルコムX暗殺の場にも居合せ、ライフ誌に掲載された瀕死のマルコムの頭を両手で支える写真はあまりにも有名だ。

ユリは日本からアメリカに移住した両親のもと、カリフォルニア州で1921年に生まれている。少女の頃から活発で聡明だったユリは短大でジャーナリズムとアートを専攻するが卒業の半年後に真珠湾攻撃が起り、父親はFBIに連行された挙げ句に亡くなってしまう。その後、父を欠いた一家は日系収容所に暮らすこととなる。

戦後、収容所を出たユリと、やはり日系二世の夫、ビルはニューヨークで新生活を始める。ハーレムの公営団地(通称プロジェクト)に落ち着いた夫婦は子どもを6人もうけ、同時にさまざまな地域活動、社会活動にのめりこんでゆく。

今回の壁画お披露目のイベントで、ユリとは古い知り合いだったというハーレムの男性がスピーチをした。 「ある時、ユリに『ジャパニーズなのになぜ黒人運動にかかわるのか?』と聞いたことがあります。ユリの返事は『私は日系収容所にいたの』でした。その言葉だけで十分でした」

"Aisians 4 Blacklives"


マルコムXもユリの熱心な活動に感服し、ユリ主宰の集会に顔を出したり、旅先から何通も絵はがきを送るなどしている。(参照:『ユリ 日系二世NYハーレムに生きる』著:中澤まゆみ)

高齢となった後も911テロ事件についてのコメントを発し、その内容が論争を呼ぶなど様々な活動を続けたユリも2014年に93歳で他界した。今年の誕生日(奇しくもマルコムXと同じ5月19日)には拡声器で演説する若き日の写真がグーグルのトップページのイラストにもなった。

日系人としては破格の生き方をしたユリだが、そのユニークさは家族にも及ぶ。ユリの6人の子どもたちはユダヤ系、アフリカン・アメリカン、インド系ブラック・トリニダード人、中国系、日系ハワイアンなど様々な伴侶を得た。その子どもたち〜今回の壁画プロジェクトの中心となったユリの孫たちもまた多様なパートナーを得ている。その結果が以下の写真だ。日系アメリカ人として生まれた自分の子、孫、ひ孫たちがこんなふうに世界を繋ぐとは、ユリ自身も想像だにしなかったに違いない。


壁画の前でマルコムXの言葉を読むユリのひ孫たち

ユリの親族と壁画プロジェクトの関係者たち


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ヒューマン・バラク・オバマ 第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」

ヒューマン・バラク・オバマ 第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独

ヒューマン・バラク・オバマ 第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために

ヒューマン・バラク・オバマ 第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?

ヒューマン・バラク・オバマ 第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由




ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)

 

 

 

 

 

 

 

author:堂本かおる, category:ハーレム, 00:40
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トランプ阻止にメディアの “暴言” は許されるのか〜「プッシー」「ブタ」「毒性の菌類」

トランプ阻止にメディアの “暴言” は許されるのか〜「プッシー」「ブタ」「毒性の菌類」


映画『ザ・バース・オブ・ア・ネイション』を観た。1800年代のアメリカ南部。奴隷の子として生まれ、奴隷ながらキリスト教の説教師となり、やがて奴隷による叛乱を企てて多くの白人を殺し、その罪で縛り首となった実在の人物、ナット・ターナーの物語だ。

とても重い内容ではあるが、重要な問い掛けがあった。

民主主義が通用しないのであれば、殺人は最終手段として許されるのか。

話し合い、陳情、選挙といった民主主義的な解決が不可能な状況にあれば、そしてそれが自分たちを生まれてから死ぬまで奴隷という一切自由のない立場に押し込め、時には拷問され、レイプされ、一歩間違えればいとも簡単に殺されてしまうというものであれば、相手を殺すしか道は無いのか。他に道が無ければ、そうすれば "究極の解決策" は許されるのか。

■国と国民の死を招くであろう大統領

現在、少なくとも先進国ではナット・ターナーほど極限の状況に置かれている者はあまりない。しかし、今のアメリカではドナルド・トランプが大統領になろうとしており、反トランプ派にとっては何がなんでも阻止しなければならない死活問題だ。トランプの度を遥かに超えた言動〜女性、人種的、宗教的マイノリティ、移民、障害者への徹底的な差別と抑圧、倫理観の欠落、政治知識の欠落、司法制度の無視〜を見ていると、トランプが大統領になれば人が死ぬと予想できる。女性への性的暴力を咎めることはしないだろう。トランプは自身の集会に抗議のためにやってくる黒人を自分の支持者が殴ることを止めない。したがって警察による黒人への暴力をシステム的に止める気もないだろう。シリアからの難民をイスラム教徒という理由で入国させない。自身を含む富裕層優遇策を採り、貧困層は極貧に陥るかもしれない。誰にも根拠が理解できない戦争を始めるかもしれない。すると多くの兵士が命を落とすだろう。

投票日まであと3週間。この間に出来うる限りのことをしてトランプを阻止せねばならない。メディアや識者たちも通常の、まともな方法ではもう無理だと感じ、いわば追い詰められ、これまでなら有り得ない言葉のチョイスを行っている。

■CNN朝の7時に「プッシー」

CNNコメンテイターのアナ・ナヴァロは共和党員でありながら徹底的なアンチ・トランプだ。例のロケバス内でのトランプと番組司会者との録音された会話がリークした後、やはりCNNコメンテイターでトランプ支持者のスコッティ・ネル・ヒューズがトランプを擁護し続けることに対して烈火の如く憤り、スコッティをぐうの音も出ないほど “言葉” で叩きのめした。

アナ「女性のプッシー(女性器のスラング)をワシ掴みにすると吹聴する男をどう思うの!」

スコッティ「その言葉を使わないで!私の娘も観ているのよ!」

アナ「私がこの言葉を使ったからといって気分を害することはないでしょう!あなたは自分が支持する男がこの言葉を使っても気分を害さないのだから!私は大統領に立候補していない、しかしトランプは大統領に立候補しているのよ!」


最後は怒鳴り合いとなったが、このやり取りによってアナは一躍 “スター” となってツイッターには賛辞が並び、他局のトーク番組のゲストに招かれた。ちなみにアナは普段から忌憚の無い物言いで知られるが良識派でもあり、トランプには品性がないことから大統領の資格無しと訴えている。今回の選挙後、アナがプッシーという単語を電波上で再び使うことはおそらくないのではないかと思われる。

■トランプは「毒性の菌類」

ニューヨークタイムスのコラムニスト、チャールズ・M・ブロウも強烈なアンチ・トランプ・コラムを書き続けている。時にやや難解なボキャブラリーを使いながらも生活体験に則した分かりやすい文を書くライターだが、トランプの人間性を語る最新のコラム『アメリカの最悪、ドナルド・トランプ』では驚くほどたくさんの過激な言葉を使っている。

・ブタのように振る舞う
・奇人の妄言
・テレビドラマ『マッド・メン』に出てくる狂人
・下劣な男
・毒性のマッチョ
・環境的ミソジニー(女性蔑視)
・拡散した人種差別主義
・拝金主義
・蔓延する反知性主義

こうした言葉を羅列し、結論として「トランプはアメリカの最悪」であり、「毒性の菌類のように拡散している」と結ばれている。

もちろん、単に「トランプはアホバカ間抜け」と言っているわけではない。トランプがこのような人物であることは既に知れ渡っているが、当選を食い止めるために再度分析し、列挙し、念を押しているのだ。万が一にも当選すれば国と自分自身の生活の崩壊に繋がる。それを阻止するためには常識的にみて妥当とされる政敵政策批判ではもう拉致があかないと判断し、自身のコラム史上もっとも過激な言葉を意図的に多数並べたに違いない。そしてニューヨークタイムスはこれを掲載した。

現代の政治コメンテイターやコラムニストを200年前の奴隷と比較することにはもちろん無理がある。しかし『ザ・バース・オブ・ア・ネイション』を観終わり、アナ・ナヴァロ、チャールズ・M・ブロウ、他のジャーナリストの “普通ではない” トランプ批判を聞いた時に、今、アメリカが如何に危機に瀕しているかを思い知らされたのである。---END---


The Birth of a Nation トレイラー
(1915年の同名映画(邦題:国民の創世)とは異なる新作)

 

 

 

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ヒューマン・バラク・オバマ 第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」

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ヒューマン・バラク・オバマ 第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由




ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)

 

 

 

 

 

 

 

author:堂本かおる, category:大統領選, 18:54
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「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌う資格 〜 "アメリカ人" の定義。
「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌う資格 〜 "アメリカ人" の定義。

必要があってあれこれ検索していて、偶然この画像に行き当たった。

3年前、メジャーリーグのオールスター戦開幕時にサルサ・シンガーのマーク・アンソニーが『ゴッド・ブレス・アメリカ』を歌うことになった。すると「なんでメキシコ人が」と文句を言う者たちが現れた。中にはラティーノへの侮蔑語を使う者もいた。

ちなみに野球選手には中南米各国からのラティーノが多い。アレックス・ロドリゲス選手もアメリカ生まれのドミニカ共和国系だった。つまり野球が上手ければ選手としてなら使ってやるが、ラティーノにアメリカを象徴させるわけにはいかないということなのだろう。

以下はその時のマーク・アンソニーのコメント。

「私はニューヨークで生まれ育った。私はアメリカ人で、プエルトリコ人で、プエルトリコは米国領だ」

「この曲を作ったアーヴィング・バーリンはロシア生まれのユダヤ系移民だった」

「私にこの曲を歌う資格がないなら、誰ならいいのだろう」




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ヒューマン・バラク・オバマ 第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」

ヒューマン・バラク・オバマ 第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独

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ヒューマン・バラク・オバマ 第5回:ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由




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author:堂本かおる, category:ラティーノ, 06:05
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ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由〜ヒューマン・バラク・オバマ第5回

ドナルド・トランプを大統領にしてはいけない理由。〜ヒューマン・バラク・オバマ第5回

■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■

本選まで1ヶ月を切った時点でトランプの女性への性的ハラスメント問題が続出し、選挙戦はさらなるカオスとなっている。これまでは「ブタ」「汚らわしい動物」「生理で気が立っているのでは」など言葉による度を超えた侮蔑が問題となっていたわけだが、今回はロケバス内で録音された女性を「モノにする」会話が暴露され、そこでは「ビッチ」「ファック」「プッシー」と言った単語が連発されている。

トランプが対抗策としてビル・クリントンの過去のセックス・スキャンダルを持ち出し、大統領選はもはや低俗なタブロイド新聞の様相となっている。それを受け、「触られた」「キスをされた」「着替えを見られた」など、被害を受けた女性たちが現れた。こうしたトランプの過去のセックス・スキャンダルを掘り起こしているのはゴシップ紙ではなく、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズなど、いわゆる高級紙と呼ばれる大手メディアだ。

ポストやタイムズはゴシップ紙に成り下がったのではなく、トランプ当選を阻止するための手段としてこうした記事の掲載を始めた。トランプが政治に無知であることは周知の事実だが、一国を治める大統領として同等に問題とされているのがモラルの欠如だ。「白人・男性・異性愛者・健常者・キリスト教徒」である自分と同類以外の他者をすべて見下し、阻害、差別、攻撃し、自分が上位に立とうとする人間であることがすでに証明されてしまっている。今は女性へのハラスメントが取り沙汰されているが、トランプはこれまでにあらゆるグループを侮蔑している。以下はその一例である。

■ヒスパニック

トランプは昨年6月の大統領選への立候補表明演説ですでにメキシコ人を「レイプ犯、犯罪者、麻薬密売人」と呼んでいる。アメリカとメキシコの国境に壁を作り、費用はメキシコに払わせるとも宣言したが、国境線は3,200kmにも及ぶ。

今年5月には「メキシカン」の判事は公平な裁定を下せないと発言。これはトランプがかつて運営していた詐欺紛いのトランプ大学(実際にはビジネス・セミナーであり、大学ではない)を受講者からを訴えられ、その裁判の担当となったメキシコ系アメリカ人の判事に向けられたもの。判事はメキシカンであり、メキシコ国境に壁を作ろうとしている自分に不利な裁定を下すという主旨だった。この発言は法曹関係者を非常に憤らせた。第一に判事はアメリカ生まれのアメリカ人であり、次いで、法律家は人種も含めてバックグラウンドに関係なく、法のもとに公平・平等に裁定を行うという矜持を傷つけたのだった。

■アフリカン・アメリカン

トランプは1970年代に経営していた不動産会社のアパート賃貸について、黒人を故意に入居させないとして2度、訴えられている。1980年代、経営していたカジノで黒人従業員を著しく差別していたとの元従業員の談話がある。1989年、ニューヨークのセントラルパークで白人女性がレイプ暴行された件で5人の黒人とヒスパニックの少年が誤認逮捕された際、トランプは5人が未成年であるにもかかわらず、自費で「ニューヨークに死刑復活」を訴える新聞一面広告を打っている。後に真犯人が逮捕されたが、トランプは少年たち(現在は成人)への謝罪をおこなっていない。1990年代には経営するカジノなどで黒人従業員への雇用差別でやはり訴えられている。

オバマ大統領就任後、トランプは「オバマはケニア生まれで大統領の資格無し」と何年も訴え続けた。この件について今回の選挙戦の中で非難が高まり、ついに先月「オバマはアメリカ生まれ」と認めたものの謝罪はなく、「オバマに出生証明証を公開させたのは自分の功績」と開き直りの発言。

今回の選挙キャンペーン中、トランプの集会で「ブラック・ライブズ・マター」を唱えて抗議行動をおこなう黒人が男女を問わず、トランプ支持者に殴られたり、小突き回されることが幾度かあった。

今年2月、KKKの元リーダー、デヴィッド・デュークがトランプ支持を表明。この件についてCNNのアンカーマンに質問された際、トランプは「デュークのことは知らない」とのみ言い、デュークからの支持を退けることはしなかった。これを批判されたトランプは後日、インタビュー時はイヤフォンが不調で質問がよく聞こえなかったと釈明。ちなみにトランプの父親(故人)は1920 年代にKKKが暴動を起こした際に逮捕されている。逮捕の行状は不明。

■ムスリム

昨年12月にフロリダ州サンバーナディーノの障害者施設で乱射事件が起こった際、トランプは「全てのイスラム教徒の入国を全て、完全に遮断すべき」と発言。犯人は夫婦だった。夫はイリノイ州シカゴ生まれのパキスタン系。妻はパキスタン人で、夫との結婚を前提にK-1ビザ(通称フィアンセ・ビザ)でアメリカに入国後、結婚していた。 今年6月のフロリダ州オーランドのゲイ・クラブでの乱射事件の際には「反米テロの歴史が証明されている国からの移民を差し止めるべき」と発言。その際、犯人を「アフガニスタン出身」と発言したが、実際はニューヨーク生まれのアフガニスタン系だった。後に「犯人がアメリカにいたのは、両親をアメリカに入れたからだ」と言い直している。

CNNによると、今やテロリストはいわゆるイスラム国家だけでなく、世界40ヶ国に居住や活動の場を広げており、アメリカはそれら40ヶ国からの入国者に対して年間270万通以上のビザを発行。これを全て差し止めることは事実上、不可能と言える。

■軍人

7月に開催された民主党全国大会にイラクで戦死した兵士の両親が登場し、父親のカーン氏がヒラリー支援の演説を行うと同時にトランプを批判。翌日、トランプはカーン氏の妻が側に立つだけでスピーチを行わなかったのは「喋ることを許されていなかったのでは」と、イスラム教徒へのステレオタイプを揶揄。これに対し、他の戦死した兵士の遺族たちが謝罪を求めた。

トランプは昨年、2004年の共和党大統領候補だったジョン・マケイン下院議員について「マケインは(ベトナム戦争で)捕虜となったから戦争の英雄になった。私は捕まったりしない人間が好きだがね」とコメントし、マケイン議員のみならず、多くの軍人と家族、遺族を憤らせた。

■障害者

昨年11月、サウスカロライナ州での選挙キャンペーン集会の演説中に、トランプは手に障害を持つジャーナリストのモノマネをした。トランプは911テロによりWTCのツインビルが崩壊した後、ニューヨークに隣接するニュージャージー州で「何千人ものアラブ人が歓喜しているのを見た」と発言。発言の内容は911テロの数日後にワシントンポストに掲載されたコヴァレスキー記者の記事にある「歓喜し、パーティなど開いたと "される" 数人がFBIに捜査された」の部分に触発されたものと思われる。記事はFBIの活動を記したものであり、実際に歓喜する者がいたとは書かれていない。また、FBIの捜査でもそうしたグループは確認されていない。しかしトランプはコヴァレスキー記者は自身が書いた記事の内容を覚えていないのだとし、観衆の前で手を振るわせながら「覚えてないよ〜!覚えてないよ〜!」とモノマネをした。

 

コヴァレスキー記者のモノマネをするトランプ(16秒目から)



■アジア人

昨年8月、アイオワ州での選挙キャンペーン集会での演説中に、トランプはアジア人の訛りと態度のモノマネをしている。 「日本人、中国人と交渉する時、彼らは部屋に入るや否や、天気や野球については話さず、いきなり『案件をまとめたい!』と言う」とアジア系のアクセントでジョークを飛ばし、会場の笑いを誘った。

■LGBTQ

6月のゲイ・クラブ乱射事件の後、「大統領として持てる力を全て使い、LGBTQ市民を守ります!」と演説したトランプだが、過去の言動は反LGBT。最高裁判所の裁定により全米で同性婚が合法となった後、「大統領になったら同性婚反対の最高裁判事を指名し、覆す」と発言している。それ以前にも「ゴルフのパターをとても長いものに変える人が多いが、とてつもなく魅力がない。ヘンだ。私はあれが嫌いだ。私は伝統的だ」と、同性婚をゴルフのパターに例える話もしている。2011年の時点では、同性婚はおろかパートナーシップも「ノー&ノーだ」としている。

共和党副大統領候補でインディアナ州知事のペンスはさらに強烈なアンチLGBT。昨年、「信仰の自由法」に昨年サインし、同州で施行している。同法は、例えば商店主が「私の信仰に反するのでゲイの客に商品は売れない」、役所の職員が「私の信仰に反するので同性婚の申請書類を受け付けられない」といった言動を合法化してしまっている。

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8年前に史上初の黒人大統領が誕生して以来、マイノリティは大いに勇気付けられてきた。同時にマイノリティの躍進によって自身の優越感と既得権を無くすことに極度の恐怖を抱える者たちがレールを踏み外した。永年の間に減っていたKKKなどヘイト団体に所属する者の数が増えたというデータがある。

昔、KKKのターゲットは黒人とユダヤ教徒だった。それとは別の文脈で、女性は常に男性から抑圧されてきた。今、時代は代わり、ヘイトの対象はイスラム教徒、ヒスパニック、LGBT、さらにはアジア系にも広がりつつある。昔はマジョリティの視野には存在しなかった、もしくは差別の対象にすらならない取るに足らない存在だったグループが、今は狭窄な者たちの視界に入り、苛つかせている。

トランプ支持者がトランプを支持する理由には経済事情も含まれ、必ずしも人種などに基づくヘイトだけが理由ではないが、根底にあるのはそれだ。トランプが叫び続けるスローガン "Make America Great Again" (アメリカを再び偉大に)に共感する層の「偉大さ」とは、自分たちのみが数も能力も立場も秀で、特権を維持できることを指している。

こうした層は真の意味での知性も理解せず、オバマ大統領の知性に反感を抱き、「トランプこそ、我らの代弁者」と言う。トランプに米国大統領として外交と国政を行う能力と知識があるのか、そこに疑問は持たない。

私自身は、テレビ画面でこうした言動を繰り返す大統領を子どもたちに見せることを恐れている。オバマ大統領が過去8年間、人種や背景を問わずすべての子どもたちに見せた品位・知性・ユーモアも含めた人間性と未来への希望をドナルド・トランプはすべて反故にしてしまう。私がトランプをこの国の大統領にするわけにはいかないと考えるのは、これが理由なのだ。


 

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ヒューマン・バラク・オバマ 第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」

ヒューマン・バラク・オバマ 第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独

ヒューマン・バラク・オバマ 第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために

ヒューマン・バラク・オバマ 第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?




ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)

author:堂本かおる, category:大統領選, 20:53
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ブラックカルチャー的ワシントンD.C.旅行記

 

ブラックカルチャー的
ワシントンD.C.旅行記

オバマ大統領の在任中に息子を連れて行こう!と親子3人で訪れたワシントンD.C.
私と夫は10年振り、息子は7歳の時にホワイトハウスのイースターイベントに参加しているので5年振り。けれどその時は幼過ぎて場所の意味を理解しておらず。と言うわけで行ってきました、歴史を巡るワシントンD.C.ツアー。

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ベンズ・チリ・ボウル

ファンキー!


チリドッグ。この日のBGMはオージェイズ For The Love of Money


我らが大統領と、多分消したいけれど消せないレイアウトなので保存されているヒト



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アフリカン・アメリカン南北戦争博物館



黒人兵士の歴史について語ってくれた館員





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グラフィティ












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ホワイトハウスと、ホワイトハウス・ビジター・センター



ビジターセンターはホワイトハウスに関するミニ博物館。ホワイトハウスについてのミニドキュメンタリー映画もあって面白い


ホワイトハウスが奴隷と移民の「手」によって建てられた歴史を描いた絵本。絵も美しい



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キング牧師メモリアル





周囲にキング牧師の言葉がたくさん彫られている



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リンカーン・メモリアル



リンカーン大統領が南北戦争終結直前におこなった演説
「全人口の8分の1は黒人奴隷であった」



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チャイナタウン

実質的にはもう中華街ではなく、若者たちのショッピングエリア


ミュージシャンやヒップホップダンサーなど、ストリートパフォーマーも多い



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アメリカ合衆国議事堂





ワシントン記念塔




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アフリカン・アメリカン博物館

今月24日にオープンなので訪れられず。残念。次回!



アメリカの歴史、黒人の歴史がしみじみと、でも楽しく染み込んでくる街、ワシントンD.C. とても好きな都市。また訪れます。

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ヒューマン・バラク・オバマ
第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」


ヒューマン・バラク・オバマ
第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独


ヒューマン・バラク・オバマ
第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために


ヒューマン・バラク・オバマ
第4回:“二重国籍疑惑”の大統領候補たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは?



ハーレム・ツアー(ブラックカルチャー100%体感!)
ゴスペル・ツアー(迫力の歌声を全身にあびる!)
スパニッシュハーレム・ツアー(ラテンカルチャー炸裂!)

 

author:堂本かおる, category:ブラックカルチャー, 05:50
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ヒューマン・バラク・オバマ 第4回:大統領は二重国籍?〜「生まれつきのアメリカ人」とは。

ヒューマン・バラク・オバマ 第4回:"二重国籍疑惑" の大統領候補者たち〜「生まれつきのアメリカ人」とは。

■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■

アメリカ合衆国は子どもの国籍に関して出生地法を採っており、親の国籍やアメリカ滞在資格の有無を問わず、アメリカの国土で生まれた子はアメリカ国籍を持つ。親が外国籍の場合、母国に子の出生を届け出ると子は二重国籍となる。ただし二重国籍に関する法の詳細は各国で異なる。日本の場合は未成年のうちは二重国籍でいられるが、成人後にどちらかの国籍を選び、原則としては他方を破棄することとなる。しかし破棄の方法や、そもそも破棄できるか否かは相手国による。


アメリカに話を戻すと、この国では米国籍保持者であれば「生まれつきのアメリカ人」か「市民権取得者(いわゆる帰化人)」かにかかわらず、ほとんど全ての地位に就ける。たとえばヘンリー・キッシンジャーはドイツ、マデリーン・オルブライトは旧チェコスロバキアからの亡命者でありながら国務長官にまでなった。特にオルブライトは米国史上初の女性国務長官だった。共和党は基本的に移民に厳しい政策を採るが、ジョージ・W・ブッシュ時代にも台湾生まれ、キューバ生まれの各省長官がいた。


唯一、憲法で「生まれながらのアメリカ市民権保持者 (a natural-born citizen of the United States)しかなれないと定められているのが大統領と副大統領だ。しかし、誕生当時から移民国家であるアメリカでさえ憲法制定当時に比べると現代の人の流れは格段に複雑化している。当時は想定もされていなかったであろう出生や結婚の多様化があり、近年は大統領選のたびに「生まれつきのアメリカ人」とは具体的に何を指すのか、どういった出生であれば「生まれつきのアメリカ人」ではないのかが議論されている。


バラク・オバマ最初の大統領選の2008年、この曖昧な「生まれつきのアメリカ人」規定を盾にバラク・オバマには大統領の資格が無いと騒ぐ人々が現れ、バーサー(Birther)と呼ばれることとなった。彼らはバラク・オバマの父親がケニアからの留学生であったことから「オバマもケニア生まれではないのか」「出生証明書を出せ」と訴え続けた。その声を当初は無視していたオバマ選挙チームだが、後にバラク・フセイン・オバマはハワイ州ホノルル生まれと記載された出生証明書を公開した。しかし、その証明書は記載内容の少ないショートフォームと呼ばれるバージョンであったため、バーサーたちは「これでは信じられない」と、引き続き「オバマはアフリカ人」疑惑を訴え続けた。


それでもバラク・オバマは大統領に当選し、バーサーたちの声もトーンダウンした。出生証明書騒動もいつしか忘れられた。ところが二期目の大統領選が迫った2011年、その時は結局は立候補しなかったドナルド・トランプが再び「オバマはケニア生まれ」疑惑を持ち出した。この時、オバマ大統領はショートホームよりも記載内容の多いロングフォームと呼ばれる出生証明書をホワイトハウスの公式ウエブサイトにアップした。この証明書は今もPDFでダウンロードできる。



この時、オバマ大統領は持ち前のユーモア精神を発揮し、出生証明書のコピーを支援者に郵送し、証明書柄のマグカップを大統領グッズとして売り出した。背面にはオバマ大統領の写真に「Made in the USA」と書き添えてある。その一方で毎年恒例の特派員晩餐会にトランプを招き、ディズニー『ライオン・キング』の仔ライオン誕生のシーンを「私の出生の瞬間のビデオです」と上映して会場とテレビ中継視聴者の爆笑を誘った。




ちなみにオバマ大統領の両親がケニア政府に婚姻届け、バラクJr.の出生届を出していればオバマJr. はアメリカとケニアの二重国籍に成り得たと思われるが、オバマ大統領の自伝などを読む限りにおいてはその気配はない。父バラク・オバマSr.はアメリカに来る前にすでに妻子があり、オバマ大統領の母親とは極短期間の婚期を経て離婚。その後はケニアに戻って再婚し、さらに最初の妻との復縁もおこなっている。アメリカでの婚姻をケニアの親族には知らしめたものの、ケニア社会で公式に喧伝した形跡は見当たらない。


■二重国籍疑惑の大統領候補たち


実のところ、「生まれながらのアメリカ人」か否かの議論が持ち上がった大統領候補は他にもいる。


●ジョン・マケイン上院議員
2008年に共和党候補となったジョン・マケインは父親が海軍勤務であったことから1936年にパナマの海軍基地内で生まれている。


●テッド・クルーズ上院議員
今回の大統領選に共和党から立候補したテッド・クルーズは1970年にカナダで生まれている。クルーズの母親はアメリカ白人、父親はキューバ人。父親は1957年にキューバを出てアメリカで大学に進み、カナダ移住後の1973年にカナダ市民権を取得。その後、アメリカに戻り、2005年にアメリカ市民権を取得。つまりクルーズ誕生時にはキューバ国籍だった。

親と共に幼児期にアメリカに移住したクルーズ自身はカナダとアメリカの二重国籍だった。そのままテキサス州選出の上院議員となったが、大統領選立候補を控え、2014年にカナダ国籍を破棄している。本名はラファエル・エドワード(テッド)・クルーズであり、ラテン名である。特にヒスパニック擁護の政策は持たず、公の場でスペイン語を使うことはほとんど無いが、英語/スペイン語のバイリンガル。


●ミシェル・バックマン下院議員
2012年の大統領選に共和党から立候補したミシェル・バックマンは、同年1月に大統領選からドロップアウトした後にスイス国籍問題が持ち上がった。バックマン自身はアメリカ生まれのアメリカ国籍者だったが、夫がスイスからの移民である両親から生まれたスイス系アメリカ人で、スイスとアメリカの二重国籍だった。

当時のスイスの法によりスイス国籍者と結婚した外国人は自動的にスイスとの二重国籍となったが、1978年にアメリカで結婚したバックマン夫妻はスイスに婚姻届けを出していなかった。ところが大統領選からドロップアウトした2ヶ月後に婚姻届けを出し、バックマンと子ども3人もスイス国籍を取得。この件がメディアで報道され、批判されたバックマンは直後にスイス国籍離脱の手続きを行った。


●ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事
2012年の大統領選で共和党候補となったミット・ロムニーの場合、「生まれながらのアメリカ人」であることに異議は出なかったが、その複雑な出生経緯が話題となった。 ロムニーの父方の祖父母はモルモン教徒のアメリカ人であり、信仰の自由を求めてメキシコに移住し、ロムニーの父親ジョージ・ロムニーはそこで生まれている。ジョージの両親は子にアメリカ国籍を与え、1912年のメキシコ革命時にアメリカに移住。ジョージは1968年の大統領選に立候補し、「生まれながらのアメリカ人」か否かの議論が起こった。


●マルコ・ルビオ上院議員
今回の大統領選に共和党から立候補していたマルコ・ルビオはキューバ系アメリカ人。ルビオの両親は共にキューバ人であり、1959年のキューバ革命時にアメリカに移住。ルビオは1971年にアメリカで生まれている。キューバとの二重国籍を疑う声は一切出ず、単に支持率の低さから大統領選からドロップアウト。本名マルコ・アントニオ・ルビオとラテン名。ヒスパニック擁護策を語り、スペイン語とのバイリンガル。

 

 

上記それぞれの件が話題にはなったが、いずれもオバマ大統領「ケニア人疑惑」ほどの勢いではなかった。そこにはやはり「米国史上初の黒人大統領」への差別、アレルギーがあったと言わざるを得ない。

 

 

いずれにせよ、大統領は「生まれながらのアメリカ人」でなければならないとする憲法は修正なり、追記なりしなくてはならないはずだが、ことが複雑過ぎ、今のところアメリカ社会にその気配はない。-end-

 

 


ヒューマン・バラク・オバマ
第1回:父親としてのオバマ大統領〜「私はフェミニスト」


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第2回:バラク・オバマは「黒人」なのか〜人種ミックスの孤独


ヒューマン・バラク・オバマ
第3回:マイ・ブラザーズ・キーパー〜黒人少年の未来のために



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author:堂本かおる, category:オバマ大統領, 04:01
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